糸利(いとり)「じゃあ行ってくるよ」
織由(おりゆ)「はい行ってらっしゃい。昨夜に雪が降ったので車に気をつけてくださいね。」

織由

糸利「大丈夫だよ。多少雪が降ったところで・・うわっ!?」
糸利は玄関の戸を開けると、一面真っ白になった近所を見て驚いてしまった。

糸利「す、すごい降ったな。」
織由「ええ、ですから気をつけてくださいね。」
糸利「りょ、了解。」
織由「それと・・女生徒の誘惑にも気をつけてくださいね。」
糸利「りょ・・了解・・です。」
半年前、糸利は織由と結婚した。
二人は同じ学校の教師で職場結婚だった。
多くの教師や生徒の見守る中、学校で結婚式を挙げた。
中には色々複雑な感情を抱く者もいたが、概ねみんなから祝福されて夫婦になった。
糸利は教職を続け、織由は悩んだ末に退職して現在は週に2回ほどパートに出ている程度だ。
給料や福利厚生の面では圧倒的に教職の方が有利なのだが、同じ職場であり二人は忙しい時期が重なる。
織由にとって糸利が帰って来た時に出迎えてあげたいという気持ちが勝(まさ)ったのだ。

糸利を見送ると、織由は洗濯機のスイッチを入れ家の掃除を始めた。
といっても広くはないし毎日掃除しているのですぐに終わる。
洗濯物も2日に1回洗っているためそんなに量は多くない。
朝食を食べたばかりだがおやつタイムへと移行した。

織由「こんな時間にのんびりお菓子食べれるなんて糸利さんに申し訳ないです。」
テレビを見ながらそう思いつつも手は自動的?に口へお菓子は運んでいった。
お菓子タイムを終えるとパートへ行く時間になった。

織由「新しい職場ってなんか新鮮ですよね。うふふ。」
笑顔で支度して職場へ向かう。
織由は歩いて30分ほどのところにある塾で国語と英語を教えている。
毎日ではないが平日の午前中、主に不登校や夜間働いている人が受講に来ている。
学校とはまた違う感じで、織由は結構気に入っていた。
ただ一つのことを除いて・・。

・・
・・・・

同僚「天利先生、今日は終わりですか?」
織由「え、ええ。」
同僚「実はボクもそうなんですよ。良ければ昼食ご一緒にどうですか?ボク車ですから食事が終わったら家までお送りしますよ。」
織由「はぁ・・」
織由よりも少し早く同じ塾の講師として来ている男性なのだが、よく食事やカラオケなどの遊びを誘ってくる。
同姓からの誘いなら乗るのだが、異性からの誘いは必ず断るようにしている。
大抵は何度か断れば誘わなくなるのだけど、この男だけはいつまでも誘い続けてきている。

同僚「実は車を新調しましてね。なんとも言えないくらい乗り心地がいいんですよ。」
織由「そうなんですか・・。」
夫がいるからもう誘わないで欲しい・・そう言ったこともあるのだが、それでも誘ってくる。
正直織由はどうやって断ればいいか困っているのであった。

織由「(どうしましょう・・)」

同僚からの誘いを・・

受ける

断る

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