―――青い空の下で起こる物語―――

どぉぉぉんっ。
な、なんだ?

学校で授業を受けていたら、突然大きな音と少しの揺れが起きた。
天利先生「ああ、気にしなくていいから。」
・・無茶言うなよ。
なにか大きなものが学校に突撃したような感じだったぞ。
車でもつっこんだ?

瀬間「何があったんですか?」
天利「車がちょっと学校にぶつかっただけだから。」
・・大問題じゃないか。
教室内がざわざわし始めた。まあみんな黙ってはいられないだろうな。
こそこそ話があちこちで発生する。

瀬間「なら問題ないですね。」
え?
瀬間「ってんなわけないでしょう。大丈夫なんですか?」
よかった、ノリつっこみか。

天利「まあ校長が処理するだろ。そんなことよりもほら、授業続けるぞ。」
うちの教師は大物なのか全力で無関心なのかよくわからん。

とりあえず、黒田さんがこそこそ話をしてきてくれたので安心した。
だってほら、こういう時だれとも話さないって寂しい人みたいじゃん。


・・・・


瀬間「一体なんだったんでしょう?」
黒田「大事件だよね。普通に。」
瀬間さん黒田さん、それにちょっと離れたところで戸矢羅さんがこちらの様子をうかがうという”いつもの状態”になったところで井戸端会議?が始まった。
俺も発言する。

栗本「俺転校生だからよくわかんないけど、よくあることなの?」
車が学校につっこむ・・よくあることなら不思議すぎるけど、世の中は広いからなぁ。
不思議な存在なのは女の子だけで十分です。

黒田「去年はそんなことなかったよ。」
それが普通だよな。
瀬間「天利先生の赴任も去年だから、昔よくあったとは考えられませんね。」
栗本「じゃあなんであんなに平然と対応出来るんだ?」
瀬間「さあ、マニュアルでもあるんじゃないですか。」
マニュアル・・車が学校につっこんでも気にしないこと。
うん、ありえないな。

黒田「どんなマニュアルなんだろう?車が学校にぶつかる事故が起きても気にしない、とか?」
瀬間「事件、事故が起きた時も取り乱さず対応すること。じゃないですか?」
ああなるほど、それならありえるかな?
でも状況を確認しないで授業を続けるのはだめだと思う。
生徒の安全を確認してから授業を続けるもんだろ?

黒田「あ、もしかしたら天利先生が事故に関わってたりして。」
瀬間「あーそれなら納得。」
え?納得しちゃうの?

栗本「そんなやばい先生なの?すごーく普通な先生に見えるんだけど。」
黒田「そうだね・・天利先生は自ら進んで揉め事につっこむよ。」
瀬間「普通に授業してる方が不思議です。」
どんな先生だよ。不祥事だらけになるって。ありえないからそれ。

瀬間「・・で、事故現場に行ってみます?」
黒田「いいよ別に。どうせ入れないでしょ。」
栗本「もう警察来てるだろうなぁ。ま、俺たち生徒はお呼びじゃないよな。」
黒田「うんうん。私たちは世界という物語のわき役でしかないんだよ。」
栗本「ほお、じゃあ主役ってだれ?」

黒田「・・・・アメリカ大統領とか?」
主要登場人物って気はする。でも主役か?
瀬間「ですが、私たちからすると主役ってほど登場してませんよ。」
黒田「じゃあうちの首相?」
瀬間「つまり、あくどい政治家の半生・・みたいなもの?」
ええと、俺からはコメントしにくいなぁ・・※この物語はフィクションです。とか入れたくなる。

瀬間「それはともかく、物語には主演者と視聴者がいるんです。演じるのは私たちとしても、視聴者によって主役は変わるんじゃないですか?」
栗本「なんで?」
瀬間「人それぞれみんなが独自のカメラ(目)を持ってるから。人によって映す相手は変わるよね。」
栗本「な〜る。じゃあ人の数だけ主役がいるんだ。」
瀬間「そうなりますね。」
ということは、俺にとっての主役もいるってことか。

黒田「んー、みんな自分が主役ってことになりそうなんだけど。一人称視点の物語になっちゃいそう。」
瀬間「そういう人もいるでしょうけど、中には裏方をしてて他のだれかを輝かせようとしてる人もいますよ。その人にとって主役は輝かせようとしてる人ですよ。」
黒田「ふふふ、アイドルを輝かせようとする裏方さんとか、結婚相手を輝かせようとする人だね。」
瀬間「ええ。そういう”大切な人”を見つけられた人は幸せですよね〜。」
黒田「いいよね〜。私も大切にされたいな〜。」
瀬間「いいですよね〜。」
俺にはよくわからないのでノーコメントで。
男→大切にする側。女→大切にされる側。この図式は今でも健在っぽいな。

キーンコーンカーンコーン。

瀬間「あ、授業始まりますね。席に戻ろうっと。」
黒田「私も〜。」
黒田さんは元々席に着いてましたけど?
はっ、まさかつっこみ待ち?つっこみ待ちだったか?

栗本「えっと、黒田さんはもう席に着いてるじゃん。」
黒田「知ってるよ。」
・・そうですか・・。なんだよこの流れ?

今日は学校に車がつっこんだこと以外は普通に授業が終わった。
帰りに事故現場へ行ってみたけど、もう片付けられていたみたいでへこんだ壁以外なにも変わったものはなかった。
だれが事故に遭ったんだろう?


・・
・・・・


次の日起きると日が変わってなかった。
ん?

あ、あれ?一日勘違いしてた?
おかしいな。今日は土曜でやったー休みだーって思ってたのに・・金曜だったみたいだ。

なんか騙されたような気分で俺は学校へ向かった。
そういや朝食は昨日と同じメニューだったなぁ。
母さん疲れてるのかなぁ、今夜は肩でも揉んであげようかな?

学校では、なんか聞いたことがある授業が展開された。
これは・・もしかして俺天才になったんじゃ・・やばいなぁ、今日初めて習うところのはずなのに、全部わかるよ。

今日ほど授業が楽しいときはなかったよ。答えがわかるって超気分いいわ。

天利「えーここの公式だが・・」
どぉぉぉんっ。

ん?
天利先生の授業中、突然大きな音と少しの揺れが起きた。
昨日に続いて二回目か。いい加減にしてくれよ。
天利先生「ああ、気にしなくていいから。」

言われんでも、二回目となるともう驚かないよ。
瀬間「またですか?」
天利「え・・ははは、こんなことそうそう起きないだろ。」
瀬間「???」
その起きないことが二日連続で起きたんだけど・・天利先生記憶喪失か?
まだ若いのに、気の毒だな。

教室内がざわざわして来た。そりゃ二日連続で起きたら意図的なものを感じるよな。
天利「ほらほら、そんなことより授業を続けるぞ。」

天利先生の一言で授業が再開された。
んったく、この学校どうなってんだか・・。


・・・・


瀬間「二日連続とは恐れ入ります。」
黒田「昨日のって、事故だって聞いたけど二日連続で続けば事件かなって思っちゃうよね。」
いつも通り、瀬間さん、黒田さん、ちょっと離れて戸矢羅さんとで井戸端会議は始まった。

栗本「昨日帰りに事故現場行ってみたけど、もう事故車両なくなってたよ。」
瀬間「仕事が早いですねぇ。」
くい、くい、くい。いつの間にか近づいた戸矢羅さんが瀬間さんの服を引っ張る。

瀬間「どうしました?奈氷見ちゃん。」
戸矢羅「あのね、みんなの様子が変なの。昨日の事件覚えてないみたいなの。」
栗本「ん?どういうこと?」
戸矢羅「私は瀬間ちゃんに話してるの。引っ込めくず。」
くずですいません。ざこですいません。

瀬間「・・みんながおかしいか、私たちがおかしいか・・ですね。奈氷見ちゃんは昨日も今日と同じ事故があったの覚えてますか?」
戸矢羅「うん、もちろん。だって瀬間ちゃんが学校にきてたんだもん。忘れないよ。」
いやいや、それは関係ないだろ。
と思ったけど、また罵倒されそうなので言わないでおくことにした。

瀬間「黒田さんや栗本くんは覚えてるよね。他に覚えてそうな人はいますか?」
戸矢羅「今のところはいないかな。」
黒田「特に・・。」
栗本「今のところは・・。」
覚えてる人がいたら”え?おかしいんじゃね?”って感じでいてくれれば助かるのに。

瀬間「状況を整理しましょう。二日連続で学校に車が突撃、他の人はそれを覚えてない。今のところこんなところですかね。
ま、そうかな。

瀬間「では、この事態でなにか問題ありますか?」
栗本「いやいやいやいや、十分問題でしょう。」
瀬間「そうではなく、私たちになんの不利益がありますか?って話ですよ。」
ふりえき?

黒田「二日連続で事故が起きても、私たちには直接不利益はないかな。他の人が覚えてなくても同様。話が合わないってくらいだけど・・。」
瀬間「そんなに他の人と話はしませんよね、私たち。」
悲しいことに、友達が少ないのは同じみたいだ。

栗本「えっと、問題ないってこと?」
瀬間「”今のところ”、”私たちにとっては”って程度ですけどね。」
栗本「つまり、どういうことなの?」
瀬間「私たちは、特別なにかする必要はないってことです。」
いつも通りでいいってことか。
それは楽でいいな。


・・・・


いつも通りってことなので、俺たちはいつも通り授業を受け、家に帰った。
そして、

次の日は金曜だった。
あれ?今度こそ土曜になったと思ったんだけど。

・・あれ?まさか。
事故が二日連続で起きたんじゃなくて・・同じ日が二回連続で続いたってことかーーーーーーーー。


・・
・・・・


栗本「おはよー黒田さん。今日って土曜だと思わなかった?」
黒田「うん思った思ったよ〜。もしかして金曜三回目?」
栗本「だよねー。俺もそうっぽいんだ。奇遇だねー。」
黒田「そうだね〜。あはははは。」
栗本「あはははは。」
あはははは・・ああ、これが”もう笑うしかない”って状況か。

瀬間「ふふふ、お困りのようですね。」
黒田・栗本「瀬間さんっ。」
なにか手があるの?

瀬間「実は私も困ってるんです。」
ああ、やっぱり同じか。

おかしいなぁ、日曜にはもち救出大作戦を実行する予定だったんだけど。
それどころじゃなさそうだ。

瀬間「状況を整理しましょう。」
1.金曜が終わると土曜が始まらず、同じ金曜に戻る。
2.金曜の3限に事故が発生。学校に車がつっこむ。
3.他の人は金曜が繰り返されることを知らない。(覚えてない。)

まあ、こんなところか。
黒田「とりあえずどう動く?」
瀬間「異常が起きてるのは確実です。ですが、それは私たちの命を脅かすレベルじゃないです。」
栗本「はぁ。」
瀬間「安全策をとっていきましょう。リスクは避ける方向で。」
黒田「死ななければやり直せるってことだね。」
瀬間「はい。ですがまあ、もしかしたら死んでもやり直せるかもしれませんけどね。」
繰り返しだもんな。多少失敗しても次の日を迎えればリセット可能。
でも死んだらどうなるかわからないから危険は避ける方向。
なるほど。

栗本「具体的にはどうすんの?」
瀬間「一時間目が終わったら事故現場へ行き事故がまだ起きてないことを確認。三時間目はサボって遠くから事故現場を覗きましょう。」
栗本「事故現場になにかあるの?」
瀬間「セオリーになりますが、いつもと違う日常にヒントがあると思います。」
栗本「意味あるかなー。」
瀬間「事故現場以外にも、私たちと同じように事故現場を覗く人を捜すのはどうでしょう?お仲間がいるかもしれません。」
なるほど、それは意味があるかも。
そうだよな、俺たちと同じ境遇の人が学校にいたら、まずは事故周りを調べるか。
俺たちがすることは、同じ境遇の人もするかもしれない。

そこに新たな手掛かりがあるかも。

黒田「そういえば戸矢羅さんも金曜三回目?」
瀬間「そうみたいです。奈氷見ちゃんには既に動いてもらってます。」
栗本「具体的になにしてるの?」
瀬間「学校内に監視カメラをしかけてもらってます。」
おいっ、犯罪じゃない?
・・でもまあ、その行動力は助かる。
みんなのプライバシーは俺が守ろう、うん。

瀬間「ではホームルームと一時間目は普通にすごしましょう。一時間目の休み時間に動きます。」
黒田・栗本「はーい。」
瀬間さんが仕切ってくれるから助かるわー、じゃあ一時間目の休み時間までのんびりするか。


・・・・


キーンコーンカーンコーン。
内田先生「はい、じゃあここまで。予習復習しといてね。」
一時間目が終わり、瀬間さんがこちらの席にやってきた。

瀬間「では行きましょうか。準備はいいですね?」
黒田「天文部特製、双眼鏡を用意しといたよ。」
・・・天文部って、星を見るんだよね。双眼鏡使わないんじゃあ・・?

瀬間「栗本くんはなにか準備しました?」
栗本「えーと、心の準備を・・。」
瀬間「じゃあ行きましょうか。栗本くんはいざとなったら突撃してくださいね。」
なにに?

回答は得られないまま、事故現場(事故未発生状態)に来た。
瀬間「うーん、当然ですがなにも起きてませんね。」
黒田「怪しい人も見当たらないよ〜。」
瀬間「こういうときは、怪しくない人でもこちらを見てる人は全員チェックしとくように。」
黒田「はーい。でも知らない人もいるし・・あ、天利先生だ。」
天利先生?あ、ほんとだ。

職員室前の廊下から、天利先生がこちらを見ていた。
驚いてる感じがするのは、俺の気のせいか?

黒田さんが天利先生に手を振ると、天利先生もこちらに向かって手を振ってきた。
その後、職員室に入っていった。

瀬間「だめですね。とりあえず写真は撮っときましたが・・授業も始まりますし、教室に戻りましょう。」
俺たちは、教室へ戻り二時間目の授業を受けた。

そして再び休み時間。
黒田「三時間目は出ないんだよね。」
瀬間「ええ、事故が起きる瞬間を観察しましょう。それと、事故現場を覗いてる人もいるか捜します。」
栗本「えーと、事故を未然に防ぐ、じゃだめなの?」
瀬間「どういう形で起きるかわからないのに防ぐことはできませんよ。」
栗本「事前に警察に連絡するとか。」

瀬間「・・栗本くん、未来に事故が起こりますから対策してくださいって言うつもりですか?」
栗本「信じてもらえないか。」
瀬間「はい。それに、明日になったら戻るのですから気にしても仕方ありません。」
そうだな。日にちが戻らなくなる最後の時に防げばいいか。
ってまあ、それがいつかはわからないけど。

瀬間「では行きましょうか。」
黒田「どこで見張ります?」
瀬間「一応場所は決めてます。ついてきて下さい。」
俺と黒田さんと戸矢羅さんが瀬間さんについていく。

瀬間「ここなら事故現場と事故現場を覗ける窓が見張れます。」
学校を出た土手が瀬間さんの選んだ場所だった。

栗本「ちょっと遠くない?」
瀬間「見張るだけなら校舎内の曲がり角がよかったんですが、先生に見つかるのもまずいでしょ?」
あ、そうか。学校内は先生に見つかって監視自体が出来なくなる可能性があるか。

黒田「双眼鏡があるし、さあ覗こう。」
栗本「なんかこれって戸矢羅さんになった気分。」
戸矢羅「え?私は監視カメラの映像を覗くよ。」
ああ、全然違ったか。最近の子はデジタルですなぁ。

瀬間「・・授業開始の時間です。後二十分で事故が発生します。」
二十分か・・結構暇だな。
瀬間「ああ、そういえば関係者が二人見つかりました。」
黒田「おーさすが瀬間さん。で、だれ?」

瀬間「一人はノノちゃん。連絡がつかなくなりました。」
栗本「ノノさんって、こないだうちに来た子?」
瀬間「はい。時間関係ですからなにか知ってるかな、と思ったのですが・・。」
連絡がつかなくなったって、、、普通にそれだけで事件だよな。

瀬間「もう一人は天利先生です。」
黒田「ふわぁ、やっぱこの問題にも首をつっこんでたぁ。」
瀬間「思えば初日のあの冷静な態度。あれは事故が起きるとわかってたんです。」
おお、なるほどそれでか。

瀬間「そして私たちが事故が起きる現場にいたり、授業をさぼったりしたことから、おそらく向こうもこちらのことは気付いてるでしょう。」
栗本「・・・・えっと、天利先生と敵対するの?」
瀬間「別に敵と決まったわけじゃないですよ。こちらは目的を決めてませんからね。それによって変わります。」
栗本「目的?」
瀬間「天利先生は関わってる以上、なにか目的があるはずです。私たちがそれをじゃますれば敵対でしょう。」
栗本「じゃあ、天利先生の目的を調べたうえで行動しないとまずい?」
瀬間「授業が終わったら電話して聞きますよ。聞いちゃいけないってわけじゃないし。」
それもそうか。

瀬間「そんなことよりほらほら、監視を続けてください。」
栗本「了解です。」
と言われても、そんな変わったことはないよな。みんな校舎内にいて、廊下に人影はない。

戸矢羅「あ・・。」
栗本「なにかあった?」
戸矢羅「んー、監視カメラの一つにちょっとね。」
どれどれ、と覗いてみたら・・え?ちょっとこれは・・。





内田先生が他の先生とえっちなことしてる。

内田先生

栗本「ちょっ、これ問題でしょう。」
瀬間「まあまあ、いいじゃないですか。」
栗本「よくないよ。」
黒田「二人の幸せをお祈りしよう。」
祈るのはいいけど、学校でこれはだめでしょ。

瀬間「栗本くん、これは問題ありません、問題ないったら問題ないんです。問題ないと判断するか死ぬかどっちがいいですか?」
栗本「・・・・問題ないです。」
瀬間「よろしい、では監視を続けましょう。」
監視をって・・なんで問題ないって判断できるんだ?

戸矢羅「瀬間ちゃんと黒田さんにとって、内田先生って恋のライバルだったんだよ。今は他の人とくっついたから、そのままの方がいいの。」
なるほど、ってあれ?

瀬間さんと黒田さんと戸矢羅さんって、同じ人とエッチしたって以前聞いたけど・・。
そこに内田先生も加わってた?
すげえ・・四股してたのか・・。

だれだその男は?とりあえずもてる秘訣でも聞いときたいよ。
黒田「あ、栗本くん、土手を下りた先、橋の下の方を見てください。」
橋?学校とは逆方向じゃんって思ったけど、もしかして事故車でもあったのか?

俺は双眼鏡を構え、橋の下を見る。





そこでは、裸の女の子が首輪にリードをつけられ男に散歩させられていた。

付和癒

あれぇ、ここは法治国家だと思ってたんだけどなぁ。
放置国家だったっけ?

黒田「ねっねっ、すごいね。」
栗本「すごいのはすごいけど、犯罪でしょ?」
黒田「真昼間から堂々と女の子をペット扱い。この国はどこへ進んでるんだろうね。」
知らん。強いて言えば、個人主義かな。
違った。個人主義を真に受けた人が、全体主義者に搾取される方向かな。
いえ、別に国とか企業とか宗教とかが搾取側とは言えませんけど。

瀬間「ちゃんと監視するように。もうすぐ時間ですよ。」
黒田「はーい、ごめんね。」
栗本「よし、ちゃんと見張るぞ。」





・・・・保健室の密会?を見つけたんだけど、これは言っちゃだめかな・・・・?

no name

瀬間「来ましたっ。あれかと。」
うわっ、超猛スピードで学校に向かってくるワゴン車が・・。
車の中を見てみると、二人いるのかな?

そして、、、
どぉぉぉんっ。

いい音とともに、学校の壁にぶつかる。
瀬間「ここまでは予定通りですね。」
栗本「ここまで?」
瀬間「既に私たちは予定と大幅に違う行動をとっています。このままこの事故に調べて行けば当然変化が起きます。」
黒田「あ、でも安全策をとるから、極力関わらない方向だよね。」
瀬間「そうですね。無事に明日を迎えられればそんな文句ないですよ。」

栗本「明日か・・だれがこんなことしてるんだろう?」
瀬間「それはどっちですか?時間のループと事故の両方ありますが。」
栗本「時間のループかな。事故は単なる不注意かなんかだろ?」
瀬間「単なる事故ならいいんですが・・時間のループは天利先生が出来ますよ。」
そういやノノさんがこないだ言ってたっけ。
天利先生の背後に時間の切りとりが出来る人がいるって。

瀬間「天利先生がやってるならいいんですけどね。他の人がやってる場合、面倒ですね。」
栗本「なんで?」
瀬間「時間を操る人が複数いるからです。面倒すぎます。」
黒田「・・・・あれ?そういえば私たちはどうして記憶が残ってるんだろう?」
単純な質問。だけどこの中に答えられる人はいないだろう。

瀬間「天利先生・・もしくは他のだれかか・・どちらにしろ、私たちはだれかのコマになってる可能性が高いですね。」
栗本「コマ?俺たちが行動を起こすことをだれかが狙ってるってこと?」
瀬間「ええ、天利先生が時間を操れるだれかの代理として行動するのと同じように、私たちもだれかさんの代理となってるでしょうね。」
黒田「授業サボってるの学校にチクられないかなぁ?」
いや、それは今気にすることじゃないから。

栗本「コマかぁ。あんまりいい気分はしないな。」
瀬間「安全性も不安ですね。将棋で全てのコマを守る人なんていませんよ。だれかは犠牲になります。」
犠牲・・。

黒田「とりあえず、そこの事故車は犠牲の一つだね。」
瀬間「ですね。コマは盤上の全てを知ることはできませんが、わかる範囲で犠牲にならないよう気をつけましょう。」
盤上を見渡せるのは指し手だけか。
一体ここで何が起きてるんだ?


・・・・


三時間目が終わった後、瀬間さんが天利先生に連絡をとってくれた。

栗本「で、なんて言ってた?」
瀬間「天利先生も私たちと同じ状態らしいです。なにが起きてるかわからず一日を繰り返してるって。」
黒田「同じかぁ。なら先生も一緒に行動した方がいいかな?」
瀬間「いえ、ここは別々に動きたいと思います。」
栗本「なんで?」

瀬間「理由は二つあります。一つ目は、”先生”が一緒だと行動に制限がつきます。」
教師として生徒に無茶はさせないだろうからなぁ。
肝心な時に俺たちを参加させない可能性もありえそうだ。

瀬間「二つ目の理由は・・秘密です。」
栗本「え?言ってよ。そんなまずいことなの?」
瀬間「(栗本くんと一緒に行動してるのなんて、天利先生に知られたくないですから・・)とにかく私たちは私たちだけで行動します。」
まあ、リーダー?が決めたのならいいか。

黒田「で、今後はどうするの?」
瀬間「今日は事故について聞きこみをしましょう。あとは明日です。」
黒田「明日、なにかあるの?」
瀬間「事故車がどこから来たのか調べます。橋の方から来ましたから、橋と、後はあたりをつけてカメラをしかけましょう。とりあえず事故関係を調べる以外はすることありませんから。」
栗本「あ、今のうち勉強しとくってのは?」
瀬間「どうぞご自由に。私たちはそんな成績気にするほどではありませんから。」
黒田「うん、わざわざいつも以上にしなくてもいいかと思うよ。」
え?みんな余裕なの?

瀬間「(勉強する暇があれば、事件を解決させて天利先生と同じ立場へ・・。)」
黒田「(事件解決して、天利先生に褒めてもらうんだもん。)」

瀬間「とにかく、休み時間と放課後は聞きこみをしましょう。授業終了から一時間後、教室で集めた情報を共有します。」
黒田・栗本「りょーかーい。」
瀬間「あ、緊急に思えることなら放課後を待たずに連絡するように。」
黒田・栗本「はーい、わかりましたー。」
戸矢羅さんが”はぁはぁ、仕切ってる瀬間ちゃんかわいい”とか言ってたけど、無視した。


・・・・


昼休み、俺は困っていた。
聞きこみ?
うーん、他の人に話かけるのはちょっと苦手だ。

黒田さんや瀬間さんは去年一年あったから友達くらいいるだろうけど、俺は今年転校して来たんだよ。
困った・・困ったけどなにもしないわけにはいかない。

とりあえず教室を出て事故現場に行ってみることにした。
べ、別にうわさを盗み聞きするつもりじゃないよ。今ならまだ事故車もあるだろうし、現場を見れば新たな情報が得られるかなぁと。

・・事故現場には、野次馬がまばらにいた。
結構少ないな。やっぱテープが張られてて中には入れなさそうだしすぐ飽きるのかな?

現場にはパトカーと救急車が止まっていた。
校長先生が警察の人と話をしている。
・・既に車に乗っていた人は救急車で運ばれたらしい、車の中にはだれもいなかった。

内田先生「ほらほら、みんな教室に戻りなさい。」
あ、内田先生。
三時間目に他の先生とエッチしてたの見たからちょっとドキドキ。

そうだ。先生に事故のこと聞けばいいじゃん。
栗本「内田先生、ちょっといいですか?」
内田「えっと、栗本くん。どうしたの?」

学校内でするエッチは気持ちいいですか?

とは言わない。
正直、天利先生との関係についても聞きたかったけど、ここは我慢して事故のことを聞こう。
栗本「驚きましたね。突然こんなことが起きて。」
内田「ええ。車内にいた人、大丈夫かしら?」
栗本「二人とも病院に運ばれたんですか?」
内田「ん?車内には一人しかいなかったみたいよ。だれから聞いたの?変なうわさは流さないようにね。」
一人?確か二人いたような気がしたんだけど・・。

栗本「そ、そうなんですか。あ、車に乗ってた人、学校の関係者なんですか?」
内田「・・・・違うわ・・・・あ、私は職員室に戻らないといけないから・・。」
そそくさと内田先生は事故現場から去っていった。
うーん、なにがなんだかさっぱりわかめラーメンだな・・ちょっと古いか。

俺は事故現場にいる生徒の噂話を盗み聞きした後、教室に戻った。


―――そして放課後から一時間後、教室に俺と瀬間さん、黒田さん、戸矢羅さんが集まった。


瀬間「ではここまで集まった情報を発表してもらいたいと思います。」
戸矢羅「わーーー。」
戸矢羅さんが拍手とかけ声で盛り上げる。

瀬間「ではまずは栗本くんから。」
栗本「あ、ああ。えっと、内田先生と生徒のうわさから・・」
俺は、
1.事故車に乗ってたのは一人である。
2.事故者に乗ってた人は、学校関係者じゃない。
3.事故車に乗ってた人は重症で、病院に運ばれた。
4.なぜ事故が起きたかは今のところわからない。調査中。
と、内田先生と盗み聞きした噂話を発表した。

生徒に直接聞かなかったことを言うと、瀬間さんと黒田さんがかわいそうな目でこちらを見た気がしたけど、気のせいだろう、うん。

瀬間「ごくろうさまです。では次、黒田さん。」
黒田「はーい。私は天文部仲間を中心に聞いて・・」
話をまとめるとこうなった。
1.事故車に乗ってた人の住むマンションを特定。
2.学校側は情報を隠しているといううわさがある。
3.隠し撮り映像がネットに出回っているといううわさがある。
4.事故現場に人がいたといううわさがある。

・・見事にうわさが75%を占めたよ。
というか・・
栗本「隠し撮り映像は戸矢羅さんのがあるんじゃない?」
それが流出?

瀬間「調べないとどうとも言えませんが、今のところカメラが盗られたということはないみたいです。」
戸矢羅「一度自宅パソコンとこのスマフォへ送信してるから、途中で通信を傍受された可能性はあるかもしれないけど。」
確かに、調べてみないと”可能性”の域を超えないか。
実際にその流出した映像を確認すれば設置場所から同じものか確認できるだろうけど。

戸矢羅「暗号化はしてるから素人がどうこうできるものじゃないと思うんだけどね。」
暗号化にも複数の規格があるから特定の弱点を突かれたらどうしようもないけど・・と付け加えた。

栗本「あ、事故現場に人がいたかどうかって、戸矢羅さんの監視カメラ調べればいいんじゃない?」

瀬間「ええ。ですがそれは後で見ましょう。まずは聞きこみ結果を確認する方が先です。」
栗本「え?隠し撮り映像見るだけなら先に見てもいいじゃん。」
もやもやしたままだよこれじゃあ。

瀬間「人の気持ちとは複雑なもので、多くの情報を持つと、いくつかの情報を隠すようになるんですよ。もしかして間違ってるんじゃないかってね。」
栗本「へぇ、そういうもんなのか。」
黒田「それわかるよ。事故車に乗ってたのは二人だっていううわさがあったけど、栗本くんが一人だって言うから私言えなかったよ。」
って、言おうよそれは。俺が間違ってる可能性だってあるんだし。

瀬間「そういうわけです。本当は紙に書いてもらってから発表って方がいいんですが、面倒だから省略してます。」
既に弊害が出てたけど、まあいいか。とりあえず次に進もう。

瀬間「では次は私と奈氷見ちゃんが聞いた話だけど・・」
まとめるとこうなった。
1.事故車は橋のあたりから急にスピードを上げた。

瀬間「以上です。」
栗本「少ないよっ。」
一つかい。

瀬間「まー正直、奈氷見ちゃんの隠しカメラの映像見たら、聞いたうわさの殆どが意味ないものになっちゃったからなんですよ。何人乗ってたかとか、いつ警察が来たかとか全部わかるんで。」
それもそうだ。ぶっちゃけ隠しカメラ映像の解析だけでよかったかも。

瀬間「情報の共有が出来たところで、実際の事故現場映像を見たいと思います。」
戸矢羅「わーーー。」
パチパチパチ・・と戸矢羅さんが盛り上げる。

戸矢羅さんが取り出したモニタを覗くと、事故車両がこちらにつっこんでくる映像から始まった。
瀬間「無駄なところは省いてますので、すぐに事故になりますよ。」
それは助かります。とても楽です。

ピ。
戸矢羅さんが一時停止する。

瀬間「見てわかるように、事故車には二人乗っています。」
栗本「乗っていますっていうか、いちゃついてる?」
助手席に乗ってる女性が、運転席の男性にべたべたしてる感じだった。
運転席の男性は驚いてるような顔だけど。
戸矢羅さんが再生ボタンを押すと、、、車は壁につっこんだ。

瀬間「予想ですが、助手席からアクセルを踏んでるんじゃないかって思うんですよ。」
栗本「ということは、自殺でもしようとしたの?」
瀬間「男性は恐怖におびえてる感じですから、女性の無理心中かなって思ってます。」
黒田「・・・・だとすると変じゃない?内田先生が”乗ってた人は一人”って言ったんですよね?」
栗本「う、うん。」
とすると、内田先生がうそを言った?

瀬間「黒田さんからの情報に、”2.学校側は情報を隠しているといううわさがある。”とのことです。先生方の情報でも正しいとは限らないってことです。」
黒田「意図的に改ざんされたらどうしようもないね。」
確かにそうだな。
とすると、天利先生もどこまで信用していいかわからないな・・。

瀬間「・・・・校長先生に聞いてみましょうか?」
栗本「校長先生?」
黒田「なるほど・・確かにあの人は生徒の味方だよね。でも、学校側が情報を隠すとしたら校長先生が一番怪しくない?」
瀬間「どうせ明日にはリセットです。聞くくらい問題ないでしょう。」

栗本「校長先生って、どんな人なの?」
黒田「いい先生だよ。天利先生をからかうのが趣味であること以外は。」
瀬間「生徒のことを一番に考えてくれる人です。天利先生をからかうこと以外はとてもいい先生ですよ。」
うん、天利先生をからかう人ってことだけははっきり分かった。

栗本「じゃあ行ってみようか。」
瀬間・黒田「うん。」
戸矢羅さんは相変わらず”瀬間ちゃんかわいい、はぁはぁ。”と言ってたので無視した。


・・・・


米他校長「し、し、し、し、知らんなそんなこと。私は・・・・・・・・・・べ、べ、別にぃいたっ、舌噛んだっ。」
わざとだよね?そこまでわかりやすく動揺しなくてもいいですよ。

瀬間「校長先生、教えてください。みんなに秘密にしないといけないようなことでもあるんですか?」
米他「・・・・まあ、その、プライバシーの都合・・とでも言っておこうか。」
ぷらいばしぃ?

栗本「だれのプライバシーですか?」
米他「うちの教師・・その一人に関係者がいるんだ。まあ、だからその・・聞かないでくれるか。」
栗本「関係者って・・もしかして、その人が殺人に関わってるとか?」
米他「殺人?あれは事故だろう。」
栗本「いえ。心中かもしれませんが、女の人がアクセルを思いっきり踏んだみたいなんです。」
米他「ん?乗ってたのは男一人じゃないのか?」
・・なんか話が噛み合わないな。

瀬間「とにかくこれを見てください。」
俺たちは、校長先生に事故発生時の映像を見せた。

米他「・・・・これは驚いた。本当に二人乗ってる。」
栗本「本当に・・って、知らなかったんですか?」
米他「ああ、私が見た時は一人だった。警察からもそんな説明無かったし。」
じゃあ、だれが女の人をこの場から連れていったんだ?

栗本「そうだ、そのビデオにはその後の様子は映ってないの?」
瀬間「それがですね、事故衝突時に女の人が倒れ込んだみたいで画面に映ってないんですよ。その後に車が運ばれてますが、まったく映ってないんです。」
栗本「え?つまりどういうこと?」

瀬間「幽霊みたいに消えてしまったってことです。」
サスペンス劇場かと思ったら、ホラーだったとは。
途中でジャンル変更してんじゃねえよ。

米他「ふぅむ・・まあこちらでもう少し調べてみるよ。ところでどうしてこんな映像があるのかな?」

瀬間「あ、いけないっ、塾の時間です。これで失礼します。」
黒田「え?あ、私もっ、失礼します。」
ここは流れに乗る時だ!
栗本「俺もそうだった。すみません、失礼します。」
戸矢羅「じゃあね〜。」
米他「あ、おい、待ちなさい・・って、行ってしまったか。まあいい、あの子たちは専門家に任せよう。それよりこっちだな・・・・。」


・・・・


栗本「逃げて教室に戻っちゃったけど、いいの?」
瀬間「でどころを知られたらまずいですからね、いいんです!」
おお、きっぱり言った。

黒田「まさか校長先生が知らなかったなんて・・はぁ、一体全体どうなっちゃってるんだろう?」
瀬間「今日は疲れましたし、続きはまた明日にしましょう。」
栗本「明日は何するの?」
瀬間「カメラの角度を変えて、事故の後も女の人が映るようにします。それと、授業さぼってその男のマンションも見てみましょう。」
栗本「え?学校サボるの?」
さすがにそれはまずいんじゃぁ。

瀬間「どうせやり直しするんです。それに、同じ授業を既に三回も聞いてます。四回目は勘弁ですよ。」
それもそうか。一回目すら憂鬱なのに、同じ内容の授業を何回も聞いてられないよな。

黒田「じゃあ明日はどこに集まる?学校以外だよね。」
瀬間「そうですね、ならその男のマンション前で待ち合わせしましょうか。」
黒田「いきなり現場だと危険じゃないかな?」
瀬間「そうですね・・奈氷見ちゃん、事故車の男が住んでるマンションあたりを地図検索してくれる?」
戸矢羅「はーい、ちょっと待っててね。」
戸矢羅さんがスマートフォンをとりだし操作を始める。

戸矢羅「はい、これでいい?」
瀬間「ありがとう・・えーと、じゃあ近くの・・このコンビニで待ち合わせしましょう。」
黒田「りょうかーい。」
栗本「俺も問題ないよ。それにしても最近のスマートフォンは処理早いんだね。」
俺も携帯からスマフォに変えようかな?

戸矢羅「あ、これはリモートしてるだけだから。処理は家のパソコンでしてるよ。」
・・・そりゃすごいな。社会人でもあんまりしてる人いないのに。

栗本「そこまでする利点ってあるの?」
戸矢羅「複数仕掛けたカメラを処理するのって、スマフォじゃ厳しいから。処理はパソコン、表示はスマフォって役割にしてるの。」
・・・ああそうか。普通の人はそこまでする必要ないからリモートはあんまりしないんだな、うん。

瀬間「では明日、またお会いしましょう。夜更かしはしちゃダメですからね。」
栗本「大丈夫大丈夫、しないよ。」
瀬間「何時に日にちが戻るか調べたりしちゃダメですよ。」
あ、それはちょっと気になる。

瀬間「それでは今日は解散!!お疲れ様です。」
黒田「はーい、また明日ね。」

・・よし、じゃあ家に帰って早めに休むか。
身体の疲れは持ち越しするみたいだし。



・・・・余談だが、いつ日にちが変わるか調べたくてテレビ録画をして眠ったら、録画処理自体無かったことになってた。
そうだよな、俺たち以外は全部戻っちゃうんだよな。ちょっと残念。

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