―――栗本の心配―――

・・
・・・・


栗本「ぶつぶつ・・ぶつぶつ・・。」

瀬間「あれどうしたんですか?気持ち悪いんだけど。」
黒田「しっ、栗本くんついに頭やられたんだよ。」
瀬間「暖かくなってきましたからねぇ。」
黒田「うん。」

栗本「あーもうどうしたらいいんだ。」

瀬間「・・こういう時は温かく見守ってあげた方がいいですね。」
黒田「そうだね。あ、ICレコーダー持ってくればよかった。」
瀬間「私の携帯は録音できますよ。」
黒田「ナイスだよ瀬間さん。早速設置しよう。」
瀬間「あんまりと遠くだとうまく集音できませんし・・うーん、どこに置きましょうか?」

コト。
栗本「・・・・なにか用?」
俺の机に携帯なんか置いて。

瀬間「あまり気にしないでください。録音するだけですから。」
栗本「録音・・?って、盗聴かよ。」
瀬間「盗聴とは失礼な。栗本くんがぶつぶつ言ってることをネットにあげれば、きっとあちこちからコメントがもらえると確信しています。」
栗本「気味悪がられるだけじゃない?」
瀬間「ええ、もちろんその方向でコメントをもらえるはずです。」
あっそ。

栗本「んで、なんでネットにあげるとかの話になってんの?」
瀬間「なんか楽しそうだったから。」
それで済ましていいことじゃないから。

栗本「俺は今悩んでるんだから、邪魔しないでくれよ。」
瀬間「悩んでるんですか。じゃあ邪魔しないでおきます。」
瀬間さんが携帯を回収して黒田さんの席へ・・って。

栗本「え?ここは相談してくれるって流れじゃないの?」
瀬間「”相談してほしい”すら言えない人なら、悩みは多そうですね。いちいち解決してられません。」
栗本「き、きつい・・。」
黒田「瀬間さんきっついー。」
戸矢羅「瀬間ちゃん辛辣ー。だけどそれがかわいい。」
・・こいつら瀬間さんの取り巻きにでもなったのか?ああ、戸矢羅さんは以前から取り巻きっぽかったっけ。

黒田「でも、悩んでるなら少しくらい話聞いてあげたら?」
瀬間「んーそうですね。少しくらいなら聞きますよ。」
栗本「二人とも・・ありがとう。」
黒田・瀬間「そのままだと見苦しいから。」
そうすか。ま、まあ相談に乗ってくれるみたいだし、ここは我慢だ。

黒田「それで、なにがあったの?」
栗本「実は・・その、知り合いに彼氏が出来たみたいなんだ。」
瀬間「栗本くんがふられただけ。はい終ーーー了。」

栗本「ちょっ、俺は別に告白もしてないんだから、ふられてもないんだけど。」
黒田「もちさんに彼氏が出来たら、それはもう栗本くんがふられたという結論で問題ないよ。」
栗本「だからー、あれ?もちだって言ってないけど・・。」
超能力か?俺の心が読まれた?

瀬間「栗本くんの知り合いって、私たちと親族以外はもちさんしかいないでしょう?」
かなり失礼な・・・・・・・・もちのお母さんの未々さんもいるぞ。

黒田「で、栗本くんはどうしたいの?」
栗本「えっと、どうしたいって?」
瀬間「黒田さん、言わずもですよ。もちさんの彼氏を海に沈めて、自らが彼氏になりたいんですよ。」
黒田「寝取るんだ。事の顛末くらいは教えてね。」
栗本「い、いや。別にそこまでは・・ええと、もちが幸せならそれで・・。」

瀬間「正直に言ったらどうですか?もちさんとキスがしたいって、エッチなことがしたいって。」
栗本「い、いや。別にそこまでは・・別に・・。」
瀬間「じゃあ問題ないですね。もちさんの幸せを祈ってあげてください。」

栗本「で、でも、もし悪い男に騙されていたら大変だろ?」
瀬間「ふぅ、栗本くんは知らないんですか?人は良くも悪くもなれるんですよ。」
栗本「?」

瀬間「昨日まで善人でも、今日悪事を行う人もいるんです。逆もまた然り。じゃなきゃ犯罪者は一律死刑にしてますよ。」
栗本「えっと、で?」
瀬間「もちさんと付き合ってる男がどんな人か今日調べたからといって、明日も同じことをするとは限らない。それこそ毎分単位で調べないとどうとも言えませんよ。」
栗本「だからといって、なにもしないよりはましだろ?」
瀬間「調べてどうするんですか?相手の粗を捜し、それをもちさんに告げ口でも?んで傷心のもちさんを慰めて寝取り完了、と。」
いや・・そこまで言ってないし。

栗本「別に・・いいだろ気にしたって。もちは・・昔よく一緒に遊んだりした・・妹のようなもんなんだよ。」
ばんっ。
瀬間「じゃあこのノートに宣言してください。もちさんに欲情しないと。絶対に付き合うなんてことも、キスもしないと。」
黒田「ああんっ、それ私のノートぉ。」

栗本「べ、別にわざわざすることじゃないだろ。そんなの。」
黒田「まあまあ。栗本くんは、仲良かったもちさんに彼氏が出来てショックなんだよね。相手がいい人ならまだ納得できるけど、悪い人だったらたまったもんじゃないよね。」
瀬間「欲しいものがあるなら奪う努力をすればいいのに。もちさんはずっと栗本くんに奪われたかったんじゃないの?」
・・知らんよそんなの。もちに聞いてくれ。

黒田「もちさんとはお話したの?」
栗本「あーいや。最近もち、忙しいみたいで。」
黒田「ならまずはちゃんとお話したら?24時間365日忙しいってわけじゃないでしょ。それこそ電話でもいいんだし。」
栗本「電話か・・それならできるかな?」
黒田「できるできる。心配なら私たちがついててあげるから。ね、やってみよ。」
う・・黒田さん・・かわいいな。

栗本「じゃ、じゃあやってみようかな。今日はもちも学校だと思うから、明日の休みの日にでも電話してみるか。」
黒田「うんうん。じゃあ私たちも行くね。アドバイスはお任せを。」
栗本「よ、よろしくお願いします。」
瀬間「・・修羅場が・・修羅場が見える・・。」
そこっ、不吉なこと言わないっ。

瀬間「まあ私も不幸なクラスメイトは見たくないですし、できる限り協力させてもらいますよ。」
栗本「(かなり不安だけど)頼むね。」
明日はうちに黒田さん、瀬間さん・・あと多分戸矢羅さんもくるだろうな。瀬間さんにくっついて。
ん?女の子が3人もうちに来る・・やばい、これはかなり嬉しい。

瀬間「にやにやしてますけど、私たちとのイベントは期待しないように。」
栗本「し、してないよ。」
顔に出てたか・・ちょっと自重しないとな。

明日は久しぶりにもちと話できるし、女の子もうちに来る。
久々に楽しくなりそうだ。

・・
・・・・

栗本「い、いらっしゃい。」
黒田「おはよう。」
次の日、そわそわしながらみんなが来るのを待っていると、まず黒田さんが来た。
もち以外の女の子・・ちょっとドキドキ。
ちなみに集合時間は午前10:00。
ただいま9:55。

栗本「ようこそ栗本家へ。」
黒田「今日は勝負の時だよ。がんばってね。」
栗本「はい・・じゃあ入って入って。」
黒田「おじゃましまーす。」
黒田さんを俺の部屋に案内した後、台所へジュースとお菓子をとってくる。
ジュースとお菓子を用意して部屋に戻った俺に、黒田さんはさも当然とばかりにエロ本を探していた。

黒田「がさごそ、がさごそ・・ねえねえ、エロDVDとかないの?」
違った。エロ本じゃなくエロDVDだった。
あんまり変わらんか。

栗本「って、ないない。ないから探さないで。」
黒田「な・・い・・?え?栗本くんって、男の子だよね?」
なにその驚いた顔は。
まるで俺が男じゃないみたいな言い方して。

栗本「別に無くてもいいだろ。人それぞれだから。」
黒田「・・・・信じ・・られない・・こ、こんなことがあっていいのだろうか?」
そこまで言うことじゃないと思うんだけど・・え?所持しちゃいけないブツ(エログッズ)って持ってないといけないのか?

ピンポーン。
黒田「あ、もしかして瀬間さんかな?」
栗本「戸矢羅さんかもよ。」
黒田「あはは、それはないよ。戸矢羅さんは必ず瀬間さんのすぐ後にくるよ。」
なぜ?
んなわけないだろ、と思いながら玄関へ。

がちゃ。
瀬間「ただいま。」
栗本「お前の家じゃないっ。」
瀬間「35点ですね。ギリギリ合格です。」
つっこみの採点、厳しいっすね。

時計を見ると、10:00ちょうどだった。
栗本「時間ぴったりだね。」
瀬間「ふふふ、約束した時間があるとして、何時に向かうのがいいかというのは昔から結構難しいものなんですよ。」
栗本「そうなんだ。」

瀬間「例えばバイトの面接する時、何時に行くのがいいと思いますか?」
バイト?したことないけど・・んー。
栗本「約束の時間の5分前くらいかな。」
遅れるのは論外として、5分前行動が基本だって昔習ったし。

瀬間「じゃあ、栗本くんは今日私が何時に来ると思ってましたか?」
栗本「ん?答え合わせじゃないの?まあ10:00だろ、約束の時間だし。」
瀬間「ではバイトの面接官も同じように、”約束の時間”に来ると思うでしょう。」
まあ5分前っていうのは俺が決めたことだからね。

瀬間「向こうは面接のみが仕事とは限りません。客先対応に事務作業、予定を作って作業してるはずです。」
まあ・・仕事だろうからそうだろう。

瀬間「面接官は約束の時間に来ることを想定して準備します。しかし面接者は約束の時間よりも早く来ました。準備が整ってない場合がありますよね?」
栗本「つまり、約束の時間よりも早く来るのはだめだと?」
瀬間「人それぞれの考えがあるのであんまし気にしないでいいと思いますよ。」

栗本「えーー、ここまで説明してそんな結論なの?」
瀬間「早いと面接する準備が整ってない場合もあれば、仕事自体は早めにこなす方がいいので早く来る人がいいって場合もあるので。面接官次第です。」
栗本「くそわかりにくいですね。」
瀬間「ま、遅れたり早すぎたりしなければ問題ないですよ。ただいっこ注意。」
なに?

瀬間「時間ぴったしに調整しようとするも失敗して、遅れてしまうことがあるから。待ち合わせの経験が少ない人は5分前行動が無難です。」
栗本「慣れてないとだめってこと?」
瀬間「予定外とか、いつも通りでも誤差で1〜3分ずれちゃうんですよ。それで慌てるくらいなら多少早めの方がましです。」
栗本「なるほど〜。黒田さんは5分前に来たから、無難な選択をしたのか。」
瀬間「意識してかはわかりませんけどね。私は多少遅れても問題ない約束の時は、時間ぴったりを狙っています。まあ練習ですね。」
はぁ〜、日常生活でも色々考えてるんだなぁ。あ。

栗本「玄関で長話しちゃったね。とりあえず入って入って。」
瀬間「おじゃまします。これでみんな揃いましたね。」
栗本「え?戸矢羅さん来ないの?」
瀬間「いえ、来てますよ。ほら、門から栗本くんを見てるじゃないですか。」
・・・・ほんとだ。
門から顔半分出してこっちを覗く様は怖いよ。

栗本「な、なんで入ってこないの?」
瀬間「まあ、元々私をつけてきただけですから。私が中に入った後で入るんじゃないですか?」
栗本「ど、どうしてこっちをじーっと見てるの?しかも無表情で。」
瀬間「栗本くんが私と長話するから。今頃殺害方法でも考えてるんじゃないですか?」
栗本「いやいやいや、なんでそうなる?」
瀬間「色んな人がいるんですよ・・早めに慣れないとつらいかと。」
既につらいです。

栗本「つーかなんとかしてよ。瀬間さんが引き連れてきたんでしょ。」
瀬間「仕方ないですね・・奈氷見ちゃーん、一緒に中入ろー。」
戸矢羅「はーい、瀬間ちゃーん。今そっち行くよーーー。」
お、笑顔でこっち来た。
最初からそうしてくれよ。

栗本「えっと、いらっしゃい。」
戸矢羅「調子に乗るなよ。」
ははは、超怖いです。

ひとまず俺の部屋に入ってもらった。
黒田「二人ともおはよー。」
瀬間「おはよう黒田さん。」
戸矢羅「おはよー。」
一瞬で俺の部屋が華やかになったな。女子率が75%だ。

栗本「じゃあ俺ちょっと飲み物持ってくるね。」
瀬間「はーい、おかまいなくー。」
台所へ行き、二人の飲み物を用意+黒田さんの飲み物も追加。
へへ、今日はいい日になりそうだ。
俺今リア充か?リアルがかなり充実してるよな、うん。

がちゃ。
栗本「みんなお待たせ〜。」
黒田「大丈夫?出来そう?」
瀬間「XPみたいですし可能性はありますね。後はログインパスワードが長すぎなければなんとかなるかと。」
黒田「まさかデータまでチェック可能だとは・・うーん、盲点だったよ。」

栗本「つーか俺のパソコンになにしてるんだよ。」
瀬間「いや、エロDVDでも物色しようかなと思ったんですが、黒田さんが見つからなかったと情報をもらって。」
栗本「ほお、んで?」
瀬間「携帯かパソコンにならエロデータがあると思ったので、ちょっとパソコンをクラックしようかと。」
栗本「ちょっとでクラックするなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。」
なに普通にクラックなんて言葉使ってんの?

栗本「というか、どうやってログインするつもりだったの?」
瀬間「このCDからパソコンを起動すると、自動でログインパスワードを調べてくれるんですよ。」
栗本「”調べてくれるんですよ。”じゃねえよ。怖すぎそれ。」
瀬間「他にも、自動ログインまでしてくれるCDもありますよ。」
栗本「・・・・どうやってそんなの手に入れるの?」
普通に生活してると見つからないんですけど。

瀬間「大抵海外のサイトですね。まあリンクを辿っていくと時々こういうのに出会います。」
栗本「か、海外・・英語とか、わかるの?」
瀬間「翻訳してくれますし、後はフィーリングで大体の意味がわかれば問題ないです。」
すげえ、なんかすげえよ。

瀬間「あ、こういうのは自分のパソコンでだけ使用するように。捕まっちゃうぞ。」
栗本「壁に向かってなに言ってんの?瀬間さんがその捕まるようなことしてたんだけど。」
瀬間「カメラがあるかなって思ってね。」
カメラ?なにそれ?

瀬間「あ、起動した。」
栗本「マジだ。というかやめて、ここはプライベートな世界です。」
瀬間「せっかく持ってきたのに・・。」
危険すぎ、それ。

瀬間「で、パソコン内にはやばそうなのあるんですか?」
栗本「・・・・まあ、多少は。」

瀬間「だそうです。」
黒田「良かった。今日はガールズトークが行われるんじゃないかって思っちゃったよ。」
いや、だから俺は男だって。
いちいちエロ系なブツを確認しないといけないのか?

というか俺を除いても、このメンバーでガールズトークにはならないような気がするんだけど。
主に瀬間さんを見つめてる約一名が会話にならなさそうだから。

黒田「じゃあもちさんに電話する?」
栗本「う・・ま、まあ、今日はそのために集まってもらったんだしな。」
かなり不安だけど・・いや、なにが不安なのかわからないが。

瀬間「作戦たてます?なにを話すかとか、どういう方向性に進めたいかとか。」
栗本「瀬間さんがいいこと言った。作戦必要です。」
ちょっと心の準備が欲しいんで。あと、女子の意見も欲しい。

瀬間「単刀直入に行きましょうか。お前彼氏いるの?って。」
黒田「まずは世間話した方がいいんじゃない?いきなりだと相手が硬化しちゃうよ。」
瀬間「世間話で終わっちゃう気がするから・・。」
黒田「あーそれはまあ・・同意。」
栗本「いやいや、同意しないで。ちゃんとできるよ。多分。」

瀬間「もちさんを他の男にとられた人の多分は信用できません。」
きついなぁ・・まあ俺に任せるとだめだからこうやって作戦をたてるのか。
黒田「もし付き合ってるなら、どこまで進んでるかも聞きたいよね。」
瀬間「キスはしてたって話ですから、その先ですよね〜。」
黒田「だよね〜。」
こいつら他人事だからって好き勝手言ってるな。
まあ俺も気になるけど・・。

まさかもうエッチまでしてないよな?もち・・。

瀬間「フェラまでとか、セックスまでしたかとかもちゃんと聞いてくださいね。」
栗本「聞けるかーーーー。」
瀬間「まあ童貞には難しいですよね。」
黒田「童貞なら仕方ないか。」
戸矢羅「童貞は仕方ない人。」
おい、最後意味が変わってきてるぞ。

栗本「というかみんな恥じらいはどこへ?」
瀬間「今頃雪山で冬眠中です。」
黒田「成長とともに失ったよ。」
戸矢羅「恥じらいは意識して行うこと。」
最後のは夢が無くなるので止めてください。

栗本「・・・もしかして、みんなは・・その、エッチなことしたことあるの?」
黒田「うん。」
瀬間「もちろん。」
戸矢羅「瀬間ちゃんと一緒。」
・・・・がーーーん。

みんな進んでる・・俺が遅れてるのかなぁ。
栗本「なあ、どうやってその、異性と出会ったりするの?」
黒田「自然と。」
瀬間「ナチュラルに。」
戸矢羅「運命。」
みんなデフォで高スキルなんだね。
公平な世の中なんてないとは思うけど、不公平だなぁと思う。

栗本「んーと、今でもその人と続いてるの?」
黒田「まあね。」
瀬間「もちろん。」
戸矢羅「瀬間ちゃんが本命。」
うん、戸矢羅さんが瀬間さん好きなのはわかったから。
ん?瀬間さん好き?

栗本「戸矢羅さんって、男が好きなの?女が好きなの?」
戸矢羅「瀬間ちゃんが好き。」
???
栗本「じゃあどうして・・え、エッチしたの?男の人とだよね。」

戸矢羅「瀬間ちゃんがその人とエッチしたから。」

栗本「え?え?え?どういうこと?」
瀬間「竿姉妹です。」
栗本「え?本気でわかんないんだけど。」
竿?姉妹ってどういうこと?血がつながってるの?

瀬間「つまり、私がエッチした人と、奈氷見ちゃんがエッチした人は同じ人ってことです。」
栗本「えええええええええええええええええええええええええ???????????」
黒田「ちなみに私も同じ人なんだよ。」
栗本「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ????????????????????????????????????????????????????????????」
乱れてる・・この国の性は乱れてるよ・・うん、だから俺にまで女の子がまわってこないんだな。きっとそうだ。

栗本「な、なんで?」
瀬間「なんでって・・まあ、流れで。」
流れで?わからん・・。

黒田「まあまあ。そういう人もいるんだよ。栗本くんはもちさんを追いかけようよ。」
もち・・うん、そうだな。
俺にはもちがいる・・はずだ。

瀬間「栗本くんがショック受けてるし、とりあえずもちさんに彼氏いるかどうかだけ聞いたら?他はまた今度で。」
栗本「う、うん。」
俺は携帯の登録情報からもちの家にかける。

ぷるるるる、ぷるるるる・・。
もち・・・。

がちゃ。
未々「はーい、海智くんどうしたの?」
栗本「あれ?固定電話にかけたはずなんだけど、どうして俺の番号がわかるんですか?」
未々「ナンバーディスプレイでーす。」
栗本「そうですか・・。」
それにしても、またお酒飲んでるなこれは。

未々「それっで、海智くんはなんのようかな?プロポーズ?やだぁ、年が離れすぎてるんだから。」
瀬間「(変な人ですね。だれですか?)」
栗本「(もちのお母さんだよ。)」
黒田「(もちさんもこんな感じなの?)」
栗本「(いや、違うよ。)」

栗本「ええと、もちいますか?」
未々「ありゃ、もちにプロポーズだったか。ごめんねぇ、もち今日お仕事だって。」
栗本「あ・・そうでしたか。」
未々「最近仕事ばかりで心配なんよ。よければ海智くんあの子に電話してやってくれない?」
栗本「あ、はい。俺でよければ。」

未々「じゃああの子が持ってる携帯の番号教えるね。メモの準備はいい?」
栗本「(メモメモ。)」
瀬間「(はい、これにメモして。)」
栗本「(ありがと。)」
黒田「(それ私のノートなんだけど。)」
・・なんで瀬間さんは、黒田さんのノートを取り出すんだ?
まあいいか。使わせてもらおう。
・・・・未々さんからもちが仕事用に持ってる携帯の番号を教えてもらった。

そして・・もちの携帯番号にかける・・。
コール音以外、時が止まったような気がした。
もち・・本当にあのキスした男と付き合ってるのか?
まさか仕事で身体を要求されてるとかじゃないのか?
もし彼氏がいて、お前が幸せなら俺はおめでとうと言って引き下がるつもりだ。

だけど、もし幸せじゃないというなら・・。

御許「は、はい。御許です。」
この声、もちだ。
久しぶりに聞いた声。ちょっと嬉しい。

栗本「あーおはよう。栗本だけど。」
御許「あ、あんちゃん?え?ふぁあ、あ、どうして?」
1.なんでこの番号を知ってるの?
2.なんでかけてきたの?
”どうして”の意味はこのあたりかな?

栗本「番号は未々さんに教えてもらった。かけたのは、ちょっと聞きたいことがあってな。」
御許「ふぇ、あんっ。」
栗本「もち?どうかしたの?」
御許「あ・・ううん、な、なんでもないの。ちょ、ちょっと同じ仕事の人に・・。」
同じ仕事の人に?なにされたんだ?

御許「お、お腹突っつかれたの。」
なんだ、お腹か。いや、お腹でもうらやましいな。

栗本「仕事中か?あーならかけなおそうか?」
御許「・・・・ううん、あ・・だ、大丈夫・・だから。」
栗本「なんかつらそうだけど、ほんとに大丈夫?」
御許「う、うん。だ・・ああっ、だ、大丈夫・・。」
なんか大丈夫そうには見えないんだけど。
ま、まあ本人が大丈夫って言ってるんだし、本題に入ろう。

栗本「な、なあ・・えっと、聞きたいことがあるんだが。」
御許「はぁ、はぁ・・う、うん、んはぁ、なあに?」
ちょ、色っぽいんだけど。
ちょっとたってきた。

栗本「その、あのな、お前って・・・・・・・・。」
御許「・・・・」
瀬間「(ほら、後は最後の一言です。)」
黒田「(私たちがいるから、勇気出して。)」
そういうと、黒田さんが電話してない方の手を握ってくれた。
温かいな・・ああいやいや。

栗本「ええと、お前・・彼氏、いるのか?」
瀬間「(うんうん、良く言えました。)」
戸矢羅「(5点プラスしてあげるね。)」
え?得点計ってたの?

御許「あんちゃぁん・・・・・うん、あっ、付き合ってる人、いるの・・。」
・・やっぱりこないだキスしてた男は・・彼氏だったんだな。

栗本「そうか・・いきなり聞いてごめんな。それを聞きたかっただけだから。」
御許「う、うん・・んんっ。」
栗本「じゃあ切るから。久しぶりにお前の声が聞けて良かったよ。」
御許「うん・・あたしも・・。」
ピ。

栗本「ふぅぅぅぅぅぅぅっ。」
黒田「良く出来ました。」
瀬間「緊張感がよかったです。撫で撫でしてあげます。」
瀬間さんに頭撫で撫でされてる・・おおお、女の子に撫で撫でされるの・・悪くないな。
戸矢羅「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そういやこの人のこと忘れてた。

瀬間「奈氷見ちゃんにも後でしてあげるから大人しくしててね。」
戸矢羅「はぅはぅはぅ。」
犬?よくしつけられてるなぁ。

黒田「栗本くんは良く出来たけど、ちょっと心配だね。もちさん。」
瀬間「ええ、あれはどう見ても仕事中じゃないですよね。」
栗本「え?休憩中なんじゃない?」
黒田・瀬間「・・・・」

栗本「なんか言ってよ。」
黒田「いい、話の途中でもちさん、喘ぎ声出してたよ。」
栗本「喘ぎ声?なんでそんな・・。」
瀬間「はぁ、気付かないんですか?男といちゃついてたんですよ。」
栗本「なんで?」

戸矢羅「かわいくて大きな胸の若い女の子。そりゃ四六時中いちゃつくでしょ。」

それが当然とばかりに言われた。
うーん、もちが男と四六時中いちゃつくのか・・・・・・・・・なんか悲しくなってきた。

瀬間「あーあ、きっとこういう感じになってたはずです。」


もち


栗本「いや、ありえないから。」


黒田「じゃあ、こんな感じ?」


もち


栗本「いやいやいや、そりゃ飛躍しすぎ。」


戸矢羅「本命は最後にやってくる。きっとこういうシーンだったんだよ。」


もち


栗本「んなわけあるかーーーーーーーー。」
電話シーンですらないやん。

真面目なのか不真面目なのかわからない面々をよそに、俺は憂鬱な気分だった。
もち・・彼氏いたのか・・。

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