―――ある日の土曜日3―――

・・
・・・・
天利「・・」
夜だと思ったらまた朝か。
手には小瓶とフタを持っている。
いいよ別に。なんか慣れてきた。

日時を確認する。
うん、大丈夫。戻ってきた。
三回過去をやり直して今は四回目のプレイだ。
理屈はわからないけど、やるべきことはしておかないと。

財布をポケットに入れ、外に出る。
目指すは具島さんが残したマイクロSD。その中身を確認する。
今日中に何とかしないといけないからなぁ。
はぁ、繰り返しプレイは登場人物が記憶を持っていくとつらいよ。
ちょっと愚痴りながら例の電信柱へ向かった。

ま、予想通りといったところか。
電信柱の所には、具島さんがいた。相変わらず電信柱を見ている。
記憶を取り戻した具島さんが言った電信柱は多分ここのことだろう。

まだ五頭が来るまでは時間がかかる。具島さんは安全だろう。
ヘタに構う方が危険だ。
二回目の時は、アパートに連れて行ったら五頭が来て撃たれたからなぁ。

具島さんがじーーーーーーーーーっと見ているのを無視して電信柱探索を始める。
手の届くところに置いたと思うけど・・。
あ、あった。

よかったよかった。ふぅ、満足。
マイクロSDを手に入れた。
・・
・・あ、満足するには早いか。
さて、アパートに戻ってこのマイクロSDの中身をチェックだ。

僕を不審そうに見ている具島さんを完全に無視してアパートへ戻る。
ごめんよ、後で必ず助けるから。

アパートに戻り、起動したパソコンにマイクロSDを挿入する。
パスワードを聞かれたので具島さんから聞いたワードを入力した。

よし、中のファイルが表示された。

・・何だこれ?
大量のファイル達。整理してください具島さん。
二、三ファイルを開いてみたけど・・さっぱりわからん・・。
なんかこう、やる気を一気に失わせるなぁ。

こういう場合は・・後回しにしよう。
仕事は後回しにするのはまずいけど・・まあ、これはプライベートの範囲だよな。
たとえ世界の危機レベルの問題でも。
僕はまきこまれただけ、まきこまれただけ。(ちゃんと解決しなさい。)

・・カッコ書きの突っ込みも最近少なくなったなぁ。
昔はがんがん突っ込んだ気がしたんだけどなぁ。
ああ、あの頃に戻りたい。(現実逃避はそこまでにしなさい。)

はいはい。じゃあ是色さんに電話するか。
五頭から聞いた番号にかけてみる。
ぷるるるる、ぷるるるる・・。

女「はい、もしもし。」
数回コールした後、女性が出た。
受付の人かな?

天利「あ、あの、僕・・あー私は天利と言います。具島さんの件で是色さんとお話したいのですが、是色さんはおられますか?」
女「ええ、居ますよ。」
天利「よかった。お取り次ぎお願いできますか?」
女「無理です。」
え・・。

天利「どうしてですか?」
女「自分が是色だからです。既に電話に出ている以上、取り次ぎはできません。」
・・変人だ。また変人だ。
この一大事に変人ばかり現れる。これはもう呪いのレベルかな?ご先祖様・・何をしたのですか?

是色「具島の件で話したいとのことですが。天利さん・・でしたっけ?具島とはどのようなご関係で?」
天利「ええと、パラレルワールドの具島さんと知り合いました。現在の具島さんとは無関係です。」
・・あれ?僕は何トチ狂ったことを言っているんだ?プレイヤーさん、選択肢は慎重に選んでください。

是色「ふむ、後で医者を紹介しよう。で、用件は?」
よかった。電話を切られるかと思ってしまった。
天利「は、はい。具島さんが残したマイクロSDを見てもらいたいのですが。色々ありすぎて僕にはどこから手をつけていいかわからなくて。」
是色「・・具島が残した・・?あれは死んだのか?」
あ、死んでいません。事情を知らない人でしたか。
僕は事情を是色さんに説明した・・その辺のやりとりは無駄に長いので書くのは省略。

是色「そうか・・その話が真実ならいいのだが、いきなり信じるのは難しいな。」
天利「えーっと。」
証拠とかないからなぁ。それに、いきなり電話で話して信じてもらう方がきついか。

是色「天利さん、あなたはどうやってそこまでのことを知ったのですか?具島側と五頭側、両方の情報を・・それもかなり核心に近づいている。」
天利「なんといいますか・・。」
言わなきゃだめ?

天利「ええっと、時間が戻ったんです。」
是色「わかった。そのマイクロSDの中身を私に送ってくれ。その後病院に行くといい。」
病院は確定ですね。

天利「病院以外はわかりました。メールで送ってもいいですか?」
是色「ファイルの容量はどれ位だ?1M超えるなら私が指定するホームページからアップしてくれ。」
天利「ええと、一つ一つのファイルは数K〜数百Kですが、全部で20Mちょいですね。」
是色「ではホームページアドレスを伝える。メモの準備が出来たら言ってくれ。」
メモメモ。。。是色さんから指定されたホームページを開いてみた。
なるほど、アップロードできるページか。便利なもんだ。

是色「使い方はわかるか?」
天利「ぱっと見わかりそうです。ちょっと待っててくださいね。」
結構親切なホームページ設計だ。助かる。

是色「天利さん。時間が戻ると言ったが、あなたは本当に過去にいけるのか?」
アップロード中、是色さんが話しかけてきた。
天利「自分の意思でいけるわけじゃないですし、決まった時間に戻るだけなので恐竜時代とか無理ですよ。」
是色「そうか、それは残念だ・・過去に戻るきっかけとか原因とかあるのか?」
天利「過去に戻るきっかけは五頭さんに拳銃で撃たれることですね。原因は・・よくわからない宅急便に入っていた小瓶が一番怪しいです。」
是色「小瓶?」

天利「画廊 偽潮(がろう ぎしお)という差出人です。僕には心当たりない方です。」
是色「私もわからない・・不思議な体験だな。」
天利「冗談じゃないですけどね、こんな体験。殺された記憶が残ることって恐怖ですよ。」
是色「だが・・それでも・・やり直したい過去がある人もいると思うよ。」

天利「是色さんもそうなのですか?あ、アップロード終了しました。」
是色「その質問にはノーコメントだ・・かなりファイル多いな。ちょっと待っててくれ。」
天利「はい。」
僕もまだ見ていないファイルを確認してみよう。
うん、さっぱり理解できない内容のものがたくさんあることがわかりました。
・・僕は、すごく役に立たないなぁ。

是色「ふふふ、素晴らしいな。」
天利「え?そんな素敵な内容でしたか?」
是色「ああ、これがあれば具島の無実が証明できる。具島が狙われる心配は無くなるだろう。」
天利「よかった、それなら解決ですね。僕は何かすることありますか?」
是色「時間を稼いでくれ。今の状況と、このファイルの内容を見る限り、放っておけば具島は殺されるだろう。私が関係者を始末する間、具島を守っていてくれ。」

天利「始末って・・ええと、真犯人に指差しして、”あなたが真犯人だ!”という役目は僕じゃないのですか?」
ちょっと興味あったんだけどな。探偵ドラマや漫画見て、推理で真犯人を特定するの。
是色「天利さん、あなたはこの件にこれ以上関わると安全は保証できない。」
・・あれ?

是色「それに、あなたはまだ知らないことがある。知ったら今まで通りの生活はできなくなるぞ。」
天利「・・」
是色「こっち側には来るな。”普通の人”には最悪の生活環境だ。」
天利「・・」
是色「だが、私や具島のような”異常な人”には天国のような世界だ。天利さんは”まだ普通の人”と思えたからな・・。」
まだ・・か。ちょっと怖いし、今回は諦めよう。

天利「今回はご縁がなかったということで・・。」
お見合いの断るセリフみたいなのが出た。人間余裕が無くなってくると色々おかしくなるなぁ。
是色「それでいい。それに、具島を守れるのはあなただけだ。大事な役割だから、よろしく頼むよ。」
天利「はい。」
そうだよな。僕にはやらなくちゃいけないことがある。今度こそハッピーエンドを目指してやる。

是色さんとの電話を終え、具島さんの所へ向かうことにした。
財布はばっちりポケットに入れました。抜かりはないです。

部屋の外に出ると、直好さんがいた。
あ・・そう言えば、警察に自首するの忘れてた。

直好「あ、天利さん。おはようございます。」
天利「申し訳ございません、必ず、必ず警察へは行きますから。今は勘弁してください。」
直好「・・えっと、何かしたんですか?後、土下座はやめてください。」

天利「はい、僕は、愚かな僕はあなたを傷つけてしまいました。」
直好「?」
天利「すみませんでした。あなたがあまりにきれいだったので、つい魔が差してしまったんです。」

直好「え・・きれいって。あの、具体的に何をしたんですか?」
天利「あなたを襲いました。あなたの部屋を訪ね、笑顔で迎えてくれたあなたを僕は無理やり襲ったんです。」
直好「・・あの・・私、そんなことされていませんが・・。」
え?

・・あ、そうか、過去に戻ったらみんなは記憶が無くなるんだっけ。
具島さんも五頭も僕のこと覚えてなかったからなぁ。
僕が襲った記憶も無くなったか・・。
なんだ。結局直好さんは傷つかないままでおいしい体験が出来たんだな。
でも、胸が痛い。悪いことってつらいんだな。

天利「すみません、僕の勘違いでした。」
直好「ふふふっ、おかしな天利さん。あ、本当に襲っちゃダメですよ。」
もちろんです。
直好「その・・襲うなら、事前に許可取ってくださいね。」
・・許可取ればいいのか?
いや、許可は絶対出ないよな。普通。

直好「これからお出かけですか?」
天利「ええ、これから記憶喪失の女性を守りに行くところです。」

直好「・・そうですか、大変ですね。では私はこれで・・。」
絶対変な人だと思われた気がする。
ウソでもいいからあたりさわりないこと言えばよかったな。

ま、もしお昼食べに行くんですとか言って”一緒にどうですか?”と言われたら困るし、これでよかったんだ。
多分・・。

はあ、具島さんを迎えに行くか・・。

・・
はい、いました。具島さんです。
同じシーンの繰り返しってそのうち飽きるよね。そして今、僕はこの光景に飽きています。
人生が一回きりなのは、結構重要だと思うよ。

天利「記憶喪失の具島さん。ちょっといいですか?」
具島「え・・どうしてそれを・・。」
天利「昨日までの記憶がないんですよね。全部知っていますよ。」
具島「だ、だれ・・?あ、あれ?あなたは先ほど電信柱といちゃいちゃしていた人?」
いちゃいちゃって・・電信柱を恋人にするわけないじゃないですか。
天利「僕は天利と言います。あなたの記憶も含めて問題の解決に色々な人が動いています。僕はあなたを守りに来ました。」

具島「守り・・?問題・・?いったい何が起きているのですか?」
天利「・・ははは、僕も結構知らされていないんで・・でも、大丈夫ですよ。問題もあなたの記憶も解決しますから。」
具島「本当なんですか?」
天利「ええ、任せてください。」
具島「・・わかりました。あなたを信じたいと思います。私には、他に頼れる人もいませんから・・。」

さて、とはいえ前と同じように人ごみにまぎれていればいいと思うので・・。
天利「ちょっと早いですが、お昼にしましょう。」

・・
具島「はー、ラーメン屋で食べるカレーは最高ですね。」
前回ファミレスで失敗したので今度はラーメン屋にしたのだけど・・ラーメン屋ならラーメン頼もうよ。
天利「この店来たことあるの?」
具島「記憶がありません。」
そうだよね。ならラーメンでもいいんじゃない?

天利「カレー好きなの?」
具島「記憶がありません。」
いいよ、もう。そんなに重要じゃないことだよね。しくしく。

具島「カレーがメニューにある以上、カレーを頼むことは問題ないと思いますが・・?あなたはメニューを作った店主に文句があるのですか?」
天利「・・いや、別に。」
そこまで考えてなかった。
具島「ならいいじゃないですか。大切なのは、おいしく食べることですよ。」
まあ、そうか。

天利「おいしい?」
具島「ええ、人と一緒に食べるご飯はとてもおいしいです。」
そうか、記憶喪失で知っている人がいなかったからな。
寂しかったのかも。

天利「大丈夫、僕が一緒にいるから。だから寂しくないよ。」
具島「ぽかーん。」
天利「・・もしかして、外した?」
具島「ぷぷ、かなり。」
超恥ずかしい。いいセリフ言ったと思ったんだけどなぁ。

具島「ぷぷぷ、私は、ぷぷ、いいセリフだと、ぷぷぷぷぷぷ、思いますよ。あはははははっ。」
天利「もういっそ殺してくれ。」
そしてやり直すよ。これはバッドエンドだ。

ぶるるるるる・・。
あ、携帯なってる。

具島「んー、彼女さん?もしかしてさっきの電信柱さんからですか?」
電信柱が電話をかけるわけないじゃないですか。
天利「・・いや、是色さんからだ。」
具島「愛人?それとも電信柱さんの名前ですか?」
天利「違います。あなたを助けようとしている人ですよ。」
というか、電信柱に名前を付けてたら痛い人ですよ。電信柱の作成者ならわかりますが。
ぴっ。

天利「もしもし、天利です。」
是色「天利さん、こんにちは。具島は無事ですか?」
天利「こんにちは。具島さんは無事ですよ。今ラーメン屋でカレー食べています。」
是色「なんですって?あの子カレー嫌いだから食べないのに。」
・・何だろう、色々納得いかない。
嫌いなカレーをラーメン屋でわざわざ頼む?フ・ザ・ケ・ル・ナ。

是色「ま、冗談だけど。」
この状況で冗談?いやあ、変な人は考えることが違いますね。
というか、疲れた。

是色「本題に入る。解決した。具島を迎えに行きたいのだが、天利さんはどこのラーメン屋さんにいますか?」
天利「えっと・・。」
僕はこの場所を是色さんに伝えた。

是色「あなたとは少し話もしたいので待っていてくれ。すぐに行く。」
天利「わかりました。」
僕も事の顛末くらい聞きたいし、是色さんの顔も興味あるし、会ってみるのもいいよね。

電話を終え、ひとまず安堵。
具島「あの・・何かあったのですか?」
天利「問題の一つが解決したそうです。後はあなたの記憶が戻れば全部丸く収まるかと。」
具島「よかった。あの、私の記憶は戻るんですか?」
天利「ええ、今夜0時に戻りますよ。細かく言うと、23時58分に。」
具島「えっと、どうしてわかるのですか?」

天利「見てきたからです。」
具島「???」
もう過去に戻ったことの説明はめんどくさいです。問題も解決したし。

天利「えっと、あなたが意図的に作った薬で記憶を失っているんです。だから記憶の戻る時間も計算されているんです。」
具島「そうだったのですか・・。」

・・
天利「それはそうと、是色さん遅いな。」
三十分経ったけど来ない。
具島「もしかして何かあった?」
!!
天利「ちょっと電話してみる。」

ぷるるるるる、ぷるるるるる。
是色「どうした?何かあったか?」
天利「いえ、それはこっちのセリフです。すぐに来るって言ってから三十分経ってますよ。」
是色「後たった一時間半でそちらに着く。ゆっくり待て。」
・・つまり、二時間は”すぐに行く”時間内ということですね?
具島さん(記憶取り戻し後)が是色さんを気にいらないっていってたけど、なんかわかるなぁ。

天利「さすがに待てません。別の場所で会いましょう。」
是色「待ってくれ。私もラーメン食べたいんだ。」
食べてから来ればいいでしょう?
天利「さすがに二時間以上居座るのもお店に悪いですよ。」
是色「適当なつまみを注文して待っていてくれ。代金はこっちで持つから。」
天利「チャーシュー注文しまくってもいいですか?」
是色「構わん。好きなだけ注文したまえ。」

ぴっ。
是色さんとの電話を終え、僕は笑みを浮かべる。
具島「ど、どうしたのですか?気持ち悪い笑みを浮かべて。」
気持ち悪いって・・。
天利「いや・・後一時間半かかるそうですが、ここは是色さんのおごりになりました。好きなの注文しましょう。」
具島「は、はあ。」
天利「さて、餃子と温泉卵とオレンジジュースを注文しようっと。具島さんは何食べます?」
チャーシューは後で頼もう。
具島「あ、私もオレンジジュースがいいです。」
天利「はーい。」
おっごり、おっごり。うっれっしっいっな。

そして三時間後。
是色「お、具島。大変だったな。もう大丈夫だ。」
具島「え?え?どちら様ですか?」
天利「お疲れ様です。それはそうと、三時間半待たせたことについて一言お願いします。」
是色「女の子と二人でいちゃいちゃ。嬉しいだろう?」

天利「あ・や・ま・れ。」
是色「なぜ?」
この人、本気で悪いと思っていないのか?

是色「ふむ、私もカレーを食べようか。」
天利「ラーメン食べたいって言ってませんでしたか?」
是色「三時間半も経てば考えも変わるさ。それくらいわからないのか?」
全然わからん。この人苦手・・。
あ、本当にカレー注文しやがった。

・・カレーが来た。
是色「では、ほほお、おいしそうだな。具島は今夜0時に記憶が戻るんだな。」
天利「ええ、そうですよ。」
是色「いまいち信じきれないが、あ、おいしい。確認できたあなたの話は全て本当だった。理解の範疇を超えている。」
僕は考えるのを諦めましたよ。そういうもんだ、そう思うことにしました。

是色「それで、よければ・・もう少し辛い方が良かったかな?あなたを研究させてもらえないか?」
天利「あの・・できれば食べた感想と事件の話をわけてもらえませんか?」
すっごく違和感あります・・というか、わかりにくいです。

是色「自由に話すことすら制限されるのか。日本は堅苦しいな。」
天利「いえ、二つのことを混ぜなければいいんですよ。」
是色「会話を混ぜることすら許されないのか。日本に自由は無いのか。」
天利「おいおい。」
そんなことで自由を語るなよ。

是色「まあ、研究はOKということで。」
天利「NGです。だめに決まっているでしょ。」
是色「モルモットくん、なぜだ?」
天利「既に名前がモルモット?だめに決まってるでしょ。人権を守ってください。」
是色「多少の犠牲で大勢が救われるんだ。そう思わないか?」

天利「過去に戻れるようになったら世界は無茶苦茶になります。犠牲の方が大きいですよ。」
是色「いや・・犠牲と思うことすらなくなるはずだ。それに、大きな失敗も無くなる。そうだろう?」
天利「一度しかないから人生は大切だと思えるんですよ。それに、過去に戻った時、それまでの世界は無くならなかったらどうするんですか?」

是色「パラレルワールドになると、そう言いたいのか?」
天利「ええ、その世界では苦しむ人が出るでしょう。過去に戻る研究なんて、賛成できませんよ。」
是色「では、こう考えてはどうだ?いい女とエッチして過去に戻る。素敵だと思わないか?」

天利「ぐはっ、げはっ。ごほっごほっ。」
具島「天利さん大丈夫ですか?」
天利「え、ええ、大丈夫です。」
心当たりありすぎてちょっとむせただけです。

是色「どうだ?そんなこともできるのだ。素敵だろう?」
天利「そんなことすれば後悔が残ります。謝罪する相手もいません。だれにも理解されず苦しいだけです。」
是色「・・ほお。」
天利「とにかくそんな研究に協力はしませんから。」
是色「わかった。モルモットくんにはモルモットくんの考えがあるんだな。さすがにこれ以上は強制しないことにしよう。」

天利「わかっていただきありがとうございます。」
是色「ま、ちょっと残念だがな。ああ、そうだ。モルモットくん、今回の件は口外しないでもらいたいのだが、いいか?」
天利「構いませんよ。こんな話、小説くらいにしかできませんよ。」
是色「小説か、それなら楽しそうかもな。書いたら見せてもらえないか。モルモットくんがどのようなものを書くか気になる。」
天利「・・あの、そのモルモットくんってやめてもらえませんか?」

是色「ではラットくんにしよう。」
天利「ほぼ同じ意味ですよ。最初の”天利さん”でいいでしょう?」
是色「タイムマシンくんは?」
天利「だめです。」
是色「タイムパトロールくん。」
天利「だめに決まっています。」
是色「○○え○○。」
天利「それは問題になります。」

具島「ふふっ。二人とも仲いいんですね。恋人さんみたい。」
天利「記憶が無いのなら恋愛の記憶もないでしょう。勝手な想像はやめてください。」
是色「そうだぞ。この男は既に三人の女性と付き合っているのだから。」
天利「は?」
なんでそれを。
是色「キミのことを色々調べさせてもらったが、色々な女性に手を出しているみたいじゃないか。」

具島「・・女の敵・・。」
是色「最低ですよね。」
天利「いえ、違うんです。」
是色「どう違うと?」
天利「四人です。付き合っている女性は。」

・・
・・
・・

具島「・・人類の敵・・。」
是色「最悪ですよね。」
あれ?評価下がった?(当然です。)
カッコ書き・・アドバイスを頼む。
・・
・・
・・まあ、そんな都合よくは来ないか。

是色「人類のためにモルモットになっていいと思うのだが?」
具島「どうすれば女性を弄ぶひどい男になれるんですか?」
知りませんよ。是色さんは僕をモルモットにしたいだけでしょ。

天利「ま、これで解決ですね。僕はそろそろ失礼させてもらいますよ。」
是色「え?まだモルモットになるって確約もらっていないのだが。」
天利「なりませんよ。」
具島「また、会えますか?」
天利「・・いや、もう会わない方がいいと思います。住む世界が違いそうですから。」
是色「ああ、その方がよさそうだな。」

終わった、僕の長い一日。
ってまだ日は高いけど。

アパートに戻り、横になる。
疲れた・・ベストな終わりとは言わないけど、一応バッドエンドは回避した。
真実はわからなかったけど、これでいいや。
ほんと・・疲れたよ。

長い土曜日が終わる。明日の日曜はゆっくり休もう。
・・でも、別のルートを通れば。もっと情報を集めてからやり直せば、もっといい終わり方もあったのかな?

・・
・・・・
・・・・・・

どんどんどん、どんんどんどん、どんどんどん。
一回”ん”が多かったです。

どどんどんどん、どどんどんどん、どどんどんどん。
・・うるさいなぁ。疲れているのにだれだ?ドアを叩くのは。

天利「はいはーい。ちょっと待っててください。」
時計を見るともう朝になっているようだ。ずいぶん寝てたなぁ。
がちゃ。

ノノ「糸利様、私の荷物どこですか?」
天利「は?」
ノノ「ノノの化粧水が届いたはずです。」
天利「来てないよ。化粧水なんて。」
はて?記憶にない。もしかしてこれもパラレルワールド?

ノノ「いいえ、来たはずです。問い合わせて確認したんですから。」
天利「と、言われても・・。」
ノノ「画廊 偽潮(がろう ぎしお)という差出人で来てるはずです。」
天利「・・その名前に心当たりが一つあるけど・・色々つっこみたい・・。」

ノノ「やっぱり来ているんじゃないですか。横取りはいけませんよ。」
天利「あ、あ、あれはどうなってんだ――――――――――――――」
つい、思いっきり叫んでしまった。

ノノ「へ?」
天利「あれのせいで過去に戻ったぞ?タイムマシンでも開発してんのか?」
ノノ「・・何言ってるんですか?タイムマシンなんて作り話の世界ですよ。」
天利「でも、実際にあの瓶を開けたところに毎回戻っていったけど?」
ノノ「糸利様・・病院、紹介しましょうか?」
やっぱり病人扱いかぁ。

天利「でもあの瓶、開けたら中のすぐに蒸発したから化粧水って感じしなかったよ。」
ノノ「すぐに蒸発???何言ってるんですか?そんなことありえませんよ。」
どうしよう・・話がまったく通じない・・。

天利「ちょっと待ってて。」
僕は例の小瓶を持ってくる。

天利「その、画廊偽潮から送られた中身だけど。」
ノノ「・・何それ?」
天利「え?」

ノノ「もっと縦長の瓶を三本注文したんですが・・。」
天利「え?うちに届いたのはこの一本だけだよ。」
ノノ「うそっ。」
天利「本当。ちなみにこれ送られてきた箱。宛先も僕の名前だったし。」
ノノ「本当だ・・あれ?」
天利「とりあえず、もう一回注文したところに確認取ってみたら?」
ノノ「はい・・わかりました・・ごめんなさい糸利様。ご迷惑おかけしました。」
よかった。わかってもらえた。

ノノ「あ、何かお詫びしないといけませんよね。」
天利「そんな、気にしなくていいよ。」
・・いえ、だから、どうしてノノちゃんは僕のズボンを脱がそうとするの?
前も同じことあったよね?

ノノ「お詫びって言ったらこれですよね。」
天利「いえ、違うと思います。」
ノノ「もう、そんなこと言って、糸利様のここすごく期待していますよ。」
それは男の生理現象です。

ノノ「それとも、ノノともっとエッチなことしたいんですか?」
天利「そ、そういう話をしてるわけじゃないから。」
ノノ「・・じゃあどうして糸利様のモノ、もっと期待してるんですか?」
生理現象です。

ノノ「ごめんなさい、ノノ、初めてはもっとロマンチックな所がいいから。」
天利「だから、僕はそういうこと期待していないから。」
ノノ「糸利様はじっとしていてくれればいいから。ノノに任せてください。」

ノノ「ペロッ、クチュ。」
・・まあ、じっとしてろと言われたからじっとしとこうか。

nono

ノノ「糸利様、こんなに喜んでもらえてうれしいですよ。」
生理現象です。仕方ないんです。

ノノ「んむぅ、ちゅばっちゅばっ。」
まったくノノちゃん前に咥えてくれた時より上手になって。
どうやって勉強したのかな?

ノノ「ちゅぷ、ちゅぷ、ぬちゃ・・。糸利様のおっきい・・もうイキます?」
天利「う、うん。出そう。」
ノノ「なら、少し激しくいきますね。」
お願いします。

ノノ「くちゅ、ぐちゅ、くちゅ、ぐちゅ・・。」
びゅるっ、びゅるっ、びくっびくっびくっびくっびくっ・・。

ノノ「ふぁぁ・・。いっぱい出た・・。」
天利「はぁ。気持ちいい。」

nono

ノノ「糸利様ってオナニーしたことあるんですか?よく女の子連れてきていますが。」
天利「え?」
ノノ「瀬間ちゃんも時々来ていますが、他の子も来ていませんか?それも複数。」
・・それは、黒田と戸矢羅だと思う。
ノノ「大人の女性も時々来ていますが・・。」
・・内田先生だ。

ノノ「糸利様は先生だと聞いてしましたが、ジゴロでしたか。」
天利「いえ、先生であっていますよ。んでジゴロって何?」
ノノ「女性に夢を与える男性のことですよ。」

天利「へえー。」
ノノ「ま、女性から金をたかり巻き上げる男性とも言うけど。」

天利「へえ?」
ノノ「糸利様はどっちかな?」
天利「僕は・・多分、、、どちらでもない・・はず。」

ノノ「つまり、女は自分の欲望をぶちまけるための道具ということですね。」
天利「全然違う。これは・・その・・流された結果・・?」
ノノ「ダメ人間?」
・・何かそんな気がしてきた。

ノノ「じゃあノノ帰って宅配便調べてみるね。」
天利「え?ここで放置ですか?」
ノノ「それじゃあね・・あれ?どちら様ですか。」
ノノちゃんがドアを開けた先には五頭がいた。

五頭「・・用事は終わったか?」
天利「ああ。何の用だ?」
五頭「具島と是色がお前を連れてこいってさ。あ、例の小瓶持ってきてくれって言ってたぞ。」
ノノ「・・糸利様・・男性まで網羅していたなんて・・。」
そこは超誤解です。

天利「向こうは僕と初対面だと思うよ。ほらほら、ノノちゃんは問い合わせしててね。」
ノノ「? はーい。」
ノノちゃんは隣の部屋へ帰っていった。

五頭「・・是色が四人の女性と付き合っているって言っていたが、今の子はその一人か?」
天利「いや、あの子は別。」
多分、付き合っているとは違うだろう。

五頭「・・・・・・具島と是色に告げ口してやる。」
天利「なぜそうなるっ。というか、お前は僕と初対面じゃないのか?」
五頭「初対面だよ。それがどうした。」

天利「・・具島さんと是色さんには別のヤツを迎えに来るよう言っといて。じゃあ。」
五頭「おい、閉めるな。てめえがだれかはわからんが、とにかく連れてくるよう言われてんだ。」
天利「僕はあんまり行きたくないんだけど。」
バキっ。

・・こいつ、強引なところは変わって無いな。
思いっきり五頭に殴られた僕は、気を失った。

・・
・・・・

天利「・・ん・・。」
具島「お、起きたか?」
天利「・・どこですか?ここ?」
具島「ま、お客様をお出迎えする部屋といったところか。」

両手両足縛られて、裸で、大きく大の字のポーズを取らされている状態が、お出迎えか?

天利「あの?」
具島「ああ、ちょっと寒いか?空調の設定温度を変えよう。」
天利「いえ、出来れば縛るのを止めて、服を着させてもらえればいいですから。」
具島「あー、ちょっとそれは難しいな。」

天利「なぜ?簡単じゃないですか。」
具島「だが、そうなるとキミは実験に協力してくれないだろう?」
天利「実験?」

是色「過去に戻る実験だよ。これまで多くの人が望みながら実現不可能とされてきた領域を目指すんだ。」

天利「過去に戻ってどうするんですか?そんなものがあったら知られたくない秘密が全部暴かれてしまいますよ。」
是色「そうだな。で?それがどうした?」
天利「未来が変わってしまったらどうするんですか?」
具島「元に戻す努力はするさ。小規模で変わりにくいことから過去に戻れることを確認していくさ。」

天利「過去なんて見ないで未来を見ましょうよ。僕達が進む先は未来なんですから。」

具島「確かにそうだ。なら、キミは未来を進みたまえ。私は過去を見直すことにしよう。」
是色「私も過去に目を向けることにする・・過去を望む人もいるんだよ。」
そりゃあ過去をやり直したり出来るなら多くの人がそうするでしょう。

具島「とはいえ、過去に行けたのはキミだけだ。悪いが協力してもらう。」
天利「協力って・・強制じゃないですか。」
是色「キミにはこれから過去に行ってもらう。失敗したらすまんな。」

天利「話聞いてくださいって失敗ってなんですか?”すまんな”で済まさないでください。」
具島「カウントダウン開始。」
天利「おーい。」

是色「二万、一万九千九百九十九、一万九千九百九十八、一万九千九百九十七・・」
天利「何時間カウントダウンするつもりですか?」

是色「五、四、三、二、一・・」
天利「え?」
具島・是色「ゼロっ。」

・・しーん。
天利「・・何も起きない?そうですよね、そう簡単に過去に行けるわけありませんよ。」

具島「おい、ボタン押し忘れているぞ。」

是色「あ、忘れてた。」
具島「はあ、これだから是色と組みたくないんだ。」
おーい、このシステム大丈夫ですか?すっごく不安なんですが。

是色「じゃあもう一度。五、四、三、二、一・・」
具島・是色「ゼロっ。」

ぶぅーん。
周りの機械が動き始めた。まさか、本当に・・過去へ行けるのか?

ぱぁぁっ。
まぶしい・・周りが光で埋め尽くされていく・・。
そして・・

あれ?何も起きていない?

具島「・・是色、そっちはどうだ?」
是色「だめ、何も反応ない・・。」
天利「えっと、つまり・・」
具島「失敗ね。過去に行ったなら反応するはずなんだけど。」
是色「こんなにすぐは成功しないってことかな?」

よかった。過去に行くなんて現実に不満を持ってる人の考えだよ。
今が満足していればそんなことより現実を楽しむよね。

天利「じゃあもういいですよね。この拘束解いてくれませんか?」
具島「わかった、また頼む。」

天利「二度と来ません。」

是色「監禁室用意しておく?」
具島「そうだな。」

天利「もちろん今後も協力させていただきます。逃げませんからうちに帰してもらえませんか?」

是色「うーん、つまらないなぁ。」
具島「もっと楽しめると思ったんだが・・。」
天利「僕はなんか悪いことしましたか?どうしてこんな仕打ちを受けるんですか?」

具島「四人も女の子に手を出したと思ったら別の子にも手を出していたって五頭から聞いたけど?」
天利「えっと、、、あ、五頭ってお二人のお手伝いしてるんですね。」
具島「ああ、こき使ってやろうと思ってな。」
是色「具島がまだ好きなんてねぇ。楽しいから私が推薦しといたの。」
ははは、五頭・・まあがんばれ。一応お前の恋を応援しとくよ。
出来れば暴走も抑えてくれると嬉しいのだけど・・。

具島「是色、原因分析といくか。お前の得意分野だ。」
是色「了解。じゃあこのモルモットくんは家に一時帰宅させとく?」
具島「残念だがそうしよう。」
残念とか、モルモットとかってなんですか?というか、帰宅は一時的ですか。

・・五頭の運転する車に乗って僕はアパートに戻った。

五頭「じゃあな。」
天利「ああ、二度と来ないでくれると助かる。」
五頭「ふっ、諦めろ。あの二人はしつこいぞ。」
そうですか。ま、こっちは流れに身を任せまくっているから実験に付き合うことになるんだろうな。

五頭と別れ、部屋の鍵を・・鍵を・・あれ?鍵が入らない。
もう夜で暗いからよく見えないが・・鍵を変えられている?
・・僕の住んでいる部屋でいいんだよな?

一応外からアパートの外観を確認して、部屋番号を確認して・・間違ってない。
???
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。

・・だれも出ない。まあそうだろう、ここは僕の部屋だからな。
だけど、どういうことだ?

バサッ。
ん?女の人がアパートに帰ってきたみたいだ。見たことない人だけど。
買い物袋を落としたけど・・あ・・

天利「僕は不審者じゃないですよ。この部屋に住んでいるのですが、鍵が変わっていて・・。」
?「せ、先生っ。」
天利「うわっ。」

思いっきり抱きつかれて倒れてしまった。
だ、だれ?この子・・いや、見たことある感じだけど・・だけど・・成長していませんか?

天利「瀬間・・のお姉さんですか?」
瀬間「先生、先生、今までどこ行ってたんですか?ずっと、ずっと、ずっと心配してたんですよ。」
???

一抹の不安がよぎる・・ここは・・まさか・・
天利「未来?」

大人?になった瀬間と鍵が変わった自分の部屋・・ははは、まさかな。
あの実験部屋にいなかった五頭は変わっていなかったし・・。
きっとこの後(次の更新で)、ドッキリでしたとかなるんだよ。ははは。
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