―――ある日の土曜日2―――

・・
警察署へ着いた。
はあ、どこから人生狂ったのかな・・。

がー。自動ドアが開き、受付に向かう。
うわぁ、気が重い。”同じアパートの女性を強姦しました”って言うのか・・。

え?

五頭とすれ違った。
五頭は外に出る。
どうして五頭がここにいるんだ?
出所?まさか・・違うよな。こんな出方はしないと思う。

とすると、五頭の関係者は警察関係?
・・そうだよな、民間が生物兵器の拡散をなんとかしようなんて考えても、情報の収集を単独ではやりにくい。
国が関わっていると考えるべきだ。

くそっ。
僕は引き返し、五頭を追うことにした。
直好さんすみません・・具島さんの件が解決したらちゃんと自首しますから。

五頭はおそらく具島さんが電信柱を見ていたところへ行くつもりだろう。
放っておけば、具島さんがナイフで殺される。
その前になんとかしないと・・。

でも、どうすればいい?
五頭が警察から出た以上、警察も五頭の味方だろう。助けにならない。
まあ、警察は事件になる前は助けにならないことが多いけど・・。
で、僕が出来ること・・ない。

終了しました・・ってそれじゃあダメだ。
助けになりそうな人。この件に関わっていて、解決の糸口になりそうな何かないか?

・・・・具島さん・・・・。
関係者で味方になりそうなのは具島さんだけだ。
そうだ、記憶を取り戻した具島さんならなんとかできるかも。

記憶を失った原因をまずは知ろう。そして、取り戻す方法を考えよう。
ただ・・生物兵器をばらまかれるのもまずいから、そっちの説得もしないとな。

ふぅ、大変そうだ。
とにかく具島さんと接触しないとな。五頭に殺されたら未解決のまま終わってしまいそうだ。

・・もしかして今までのことは夢の中でなく、本当に起きたことなのだろうかと思っている。
あの小瓶はゲームで言う所のセーブポイントなのではないだろうか?
本当かは確認できないけどね。

ま、繰り返し出来るならハッピーエンドを目指してやるよ。

起きている事態に少しドキドキしながら僕は走り出す。
少し遠回りになるが、五頭とは違う道を通って具島さんの元へ向かう。
後を付けるだけじゃあ具島さんが刺されちゃうからね。

最初の時は、具島さんを人通りのない住宅街に連れて行ったのがまずかった。
その次は、具島さんを僕の部屋に連れて行ったのがまずかった。
どちらにしても、他の人の目が無かった。

五頭が警察関係者なら、なによりこの件が世間に知られることを嫌うだろう。
ならば、人の多い所に置いておく方が安全と考える。
その上で、五頭の動きを見てみるか。

・・具島さんがいたっ。
やっぱり電信柱を見ている。
胸が高まるのを感じながら、僕は話しかけた。

天利「お譲さん一人ですか?僕と少しお話しませんか?」
ナンパすることにした。
本当は喫茶店とかに誘いたかったのだけど、お金持ってきてなかった。
ちょっとお腹空いたなぁ。
この辺は失敗かな?まあ、準備万端で来たわけじゃないし仕方ないか。

具島「えっと、どちら様でしょうか?」
天利「天利と言います。具島さん。」
具島「え?私を知っているのですか?」
一応、少しは相手が興味を持ってもらわないといけないので、少しずつ情報を出すこととしよう。

天利「ええ知っていますよ。記憶喪失なこととか・・とはいえ少しだけどね。どうですか、少しお話しませんか?」
具島「あ・・助かります。こちらからもお願いします。」
あ、来たっ、五頭だ。前はまっすぐ具島さんの所に来ていたが、今回はそうではなさそうだ。
僕がいるからだろう。おそらく、近くで盗み聞きするつもりかと思う。
僕がだれか確認するはずだ。

天利「(ボソッ)ここから少し小声でお願いします。聞き耳をたてている人がいますので。」
具島「(ボソッ)ええっ?な、なぜですか?」
天利「(ボソッ)それは後でお話します。まずは時間を稼ぎましょう。人ごみから離れるとまずいので適当な話をしながら人通りを歩きましょう。」
具島「(ボソッ)は、はい。」

天利「お譲さんかわいいですね。どうですか、少しお話しながら散歩でも。」
具島「えっと、少しだけならいいですよ。」
うーん、わざとらしい会話だなぁ。ちらっと五頭の様子を見る。

携帯を取り出し、メールを打っているようだ。
僕をナンパ男と判断して報告メールを出しているのだろうか?
強行に出ないよう、気を付けないと。

天利「では、行きましょうか。」
具島「はい。」
僕達はゆっくり歩きはじめる。

具島「(ボソッ)あの、それで、私はだれなんですか?」
天利「(ボソッ)あなたは生物兵器を作り、使用した人だと聞きました。そのため狙われています。」
具島「(ボソッ)ええっ?せ、生物兵器だなんて・・なぜそんなひどいことを?」
天利「(ボソッ)わかりません。その話も、僕達を付けている五頭という男から聞いた話なのですが・・。」
具島「(ボソッ)五頭・・?どこかで聞いたような気がします。」
あなたがふった男ですよ。

具島「(ボソッ)それで、どうするつもりですか?」
天利「(ボソッ)実は、僕には解決する力も知識もありません。あなたの記憶を取り戻すことが次につながると思っています。」
具島「(ボソッ)そうですか・・もう一つ聞かせてください。あなたはなぜ色々知っているのですか?」
天利「(ボソッ)・・僕が知りたいくらいですよ。異常なことが起きた、としか言いようがありません。」
具島さんの頭に疑問符が付いたみたいだった。
まあそうだろうな。でも、”死んだら記憶を持ったまま過去に戻りました”なんて言えない・・頭おかしい人だよ。ゲームのしすぎとか言われるかと。

僕達が、五頭に聞こえるよう軽い話をしながら時間を稼いだ。
だけど、時間はやがて尽きる。
夕方になると、人通りは少なくなってきた。
僕が知っていることは、だいたい伝えたけど・・でも、具島さんの記憶は戻らなかった。
一応死んだら記憶を持ったまま過去に戻ることも伝えたけど・・信じてもらえたかは微妙だった。

そして、夜になった。

具島「(ボソッ)夜になってしまいましたね。」
天利「(ボソッ)ええ、困りました。」
具島「(ボソッ)・・そんなこと言わないでください。私にはあなたしか味方がいないのですから。」
二人の時間は終わった。
五頭が僕達の前に立ちふさがったのだ。

五頭「そこの男、その女を引き渡せば見逃してやる。命を無駄にするな。」
・・この男もゲームのしすぎって感じがするよな。発言が。それとも本当にあぶない人ってこういうこと言うのだろうか?

天利「僕がだれか知ってるのか?」
五頭「さあな。」
天利「調べ中ってところか。でも逃がしてはくれないんじゃないか?僕がだれかわかるまで拘束するよう言われてるはずだが?」
五頭が驚いたような顔をした。
そうだ、僕を逃がしていいとは言われてないはずだ。そして、僕が具島さんと関係ないことがわかると・・僕を殺すよう指示されるはずだ。

五頭「な・・なぜそれを・・?」
天利「警察にまで顔が利くやつを相手にするんだ。こちらも多少は情報もっていないとな。」
僕が持っているのは情報。それだけだ。だから、その情報で闘うしかない。

五頭「貴様は、具島の関係者か?」
天利「さあね。でも、僕を調べても具島さんとの接点は見つからないはずだよ。」
五頭「なにっ?」
天利「ああ、自己紹介しておこう。僕は天利糸利。よろしく、五頭さん。」

五頭「!!!」
五頭の動きは早かった。素早く逃げだし、近くに止めてあった車に乗り込んでその場を去った。
一応、車のナンバーを覚えておいた。
この車がやつらの車だということがわかった。今後は近くに止まっていればわかるだろう。

具島「助かったの?」
天利「多分、一時的にね。また来るだろうからこっちも対策たてないと。」
具島「どうするの?」
天利「まずはアパートに戻ってお金を取ってきて、その後はとにかく記憶を取り戻そう。」
具島「うん。」

アパートにこっそり戻って財布を確保した。
・・直好さんすみません。本当に、本当にこの件が終わったら自首しますから。
直好さんの部屋は電気が付いていなかった。寝る時間には早いけど・・まさか、警察に行った?

不安にはなったけど、それどころではないのでひたすら謝りながらアパートを出た。
具島「大丈夫でしたか?」
アパートからちょっと離れたところにいた具島さんが心配そうに声をかけてきた。
天利「ええ、ほら。これで夕ご飯を食べれますね。」
具島「そうですね。お昼も食べていませんでしたから、少しお腹が空いてしまいました。」

五頭と対峙するまではお腹空いていたことを忘れていたけど、しばらく大丈夫かなって思ったらとたんにお腹が空いてきた。
天利「じゃあ、どこで食べます?」
具島「早く食べたいので近くのお店がいいです。」
天利「・・とすると、ファミレスかな?」
ラーメン屋も近いけど、女の子は食べずらいかなと思ったので却下した。
いやまあ、女の子もラーメン好きだろうけど、男と一緒だといやかなって。

まあそんなわけで、具島さんとファミレスに入り、夕ご飯をとることにした。
死角(背中)が壁になるよう座ったけど、怪しい人はいなさそうだ。

具島「(ボソッ)天利さん、右のカップルに覗かれています。」
天利「(ボソッ)え?」
具島「(ボソッ)女のバックから小さなカメラがこちらを覗いています。」
こっそり見てみると、本当だった。

天利「(ボソッ)本当だ・・すごいですね、気が付きませんでした。」
具島「(ボソッ)えへへ、何となくわかっちゃいました。」
・・明るい人だなぁ。
でも最初の時、五頭が”高圧的で人を見下す性格”って言ってたっけ。
”芯の通った真面目な人”とも言ってたけど。

だいぶ感じが違うよ。

これだと、記憶が戻らない方がいいんじゃないかとまで思ってしまう。
記憶が戻らないと、この件の解決方法がないので困るけど・・。

黒田「・・天利先生・・その人だれ?」
・・なぜか黒田がいた。まさか知り合いに会うとは思わなかった。

天利「今忙しいから話しかけないでくれ。学校で話してやるから。」
黒田「・・その女の人だれ?」
天利「色々あって一緒に食事しているんだ。お前が思っているような関係じゃないから安心しろ。」
黒田「ほんと?」
天利「本当だ。僕を信じてくれないか?」

黒田はしばらく僕の顔を見て・・。
黒田「わかった、信じる。でも、裏切ったら承知しないから。」
黒田は納得したのか、ファミレスから出ていった。
一緒にいたのは家族かな?父親の方は見たことあるし。

具島「お知り合いですか?」
天利「ああ、僕は教師をしていて、さっきの子は生徒なんだ。」
具島「なんか、恋人さんって感じだったけど?」
天利「そんなことありませんよ。まだ新任一年目の若い教師なので興味もあるのでしょう。」
エッチはしましたけど・・公言はしませんよ?

具島「ふぅん。なんか、楽しそう・・私もあなたの授業を受けてみたいな。」
天利「ま、無事に終わったらうちに編入してみますか?」
具島「その時はよろしくお願いしますね。」
天利「ちなみに、おいくつなんですか?」
具島「え?」
・・そういえば・・。

具島「えへへ、わかりません。」
そうですよね。自分の名前も覚えていなかったのですから。

天利「(ボソッ)あの・・目を覚ました時の状況を教えてくれませんか?記憶を失った時の状況を知りたいので。」
具島「(ボソッ)えっと、天利さんが来た場所で、朝に目を覚ましました。」
天利「(ボソッ)それで?」
具島「(ボソッ)それだけです。何となく電信柱が気になって、ずっと見ていました。」
・・何の役にも立たない・・。

天利「(ボソッ)まだ何も思い出しませんか?」
具島「(ボソッ)・・ごめんなさい。」
天利「(ボソッ)あ、いえ。謝らないでください。あなたが悪いわけじゃないのですから。」
具島「(ボソッ)天利さんって優しいんですね。好きになっていいですか?」
え・・?

具島「(ボソッ)冗談ですよ。本気にしちゃダメですよ。」
天利「(ボソッ)だ・ま・さ・れ・た・・・。」
はあ、こんな危険な状態だというのに、具島さん楽しそうだ・・。

具島「(ボソッ)私、お姫様みたいです。ナイトに守られているって感じがします。」
天利「(ボソッ)そんな楽しい状況じゃないんですけどね。」

・・
夕ご飯も食べ終わり、僕達は店を出た。
具島「この後どうします?」
天利「二十四時間営業のレジャー施設があるからそこにいよう。少ないけど一般人もいるから、手は出しづらいと思う。」

五頭「そうだな、そういった所に逃げられるとちょっと困るな。」
ファミレスを出た僕達を、五頭が待っていた。

天利「方針は決まったかい?」
五頭「ああ、二人とも捕まえるようにって話だ。ああ、囲まれているから抵抗しても無駄だぞ。」
・・五頭がそういうと、男達が僕達を囲む。

具島「天利さん・・。」
天利「うーん、逃げられそうにないし、とりあえず付いていこうか。」
男達は全員ナイフを持っていた。
強行突破したら、大怪我しそうだ。説得するような情報も持っていないし・・。

僕達は車に乗せられ、どこかへ連れて行かれる・・。
天利「目隠しはしないのか?」
手錠しか付けられなかった。最初の時は、手錠と目隠しをされたのだけど。
五頭「必要ない。お前は具島の関係者と判断された。」
そうか・・なら、どこへ連れて行かれるか覚えてやろうじゃないか。
以前一時間は連れまわされたからなぁ。住所表示とか見逃さないようにしないと。

・・だが、今回はものの十分で目的地に着いた。
しかも、最初の時と同じ駐車場に止まった。

そうか、最初の時はどこへ連れて行ったかわからないようわざと時間稼ぎをしていたのか。
驚いた。そこまでするようなことなのか?

案内された部屋も最初の時と同じ・・だけど、一つ違った。
そこでは驚く光景があった。

黒田「あ・・せ、先生・・いや、見ないでぇぇぇっ。」
黒田が男に犯されていた。
具島「ひ、ひどい・・。」
天利「く、黒田っ。」
がっ。
黒田の所へ走り出した僕に、五頭が足をかけ転ばす。
転んだ僕の背中を足で踏みつける。
天利「五頭、なんだこれは?」

五頭「ファミレスの前でうろうろしていたから連れてきた。お前の教え子らしいな。」
天利「どうしてこんな扱いなんだ?」
五頭「お前は具島の仲間だからな。まともに扱われると思ったか?」
天利「・・最低なヤツ。」
五頭「ふん、生徒の痴態なんて中々見れないからな。少しはこの状況を楽しんだらどうだ?」
天利「本当、最低なヤツだ。」
そうこう話している間も黒田は男に弄ばれる・・。

黒田「やだ・・先生見ないで・・。」
男「もっと喘ごうね。先生の股間もギンギンになるよ。」
黒田「うぅ・・。」
男「いやあ、若い子はいいねぇ。締まりもいいし、肌ももちもちして楽しいよ。」
男は黒田が嫌がるのを無視して激しく腰を叩きつける。

黒田「ああ、助けて、助けて・・先生・・。」
胸が痛かった。
手錠と、五頭の足が邪魔して起き上がれない。

男「仮未ちゃんだったっけ?そろそろ中に出しちゃうけどいいよね?」
黒田「え・・や、やだ・・。」
男「抵抗すると先生殺しちゃうよ?それでもいい?」
黒田「やだ・・。」
男「なら、どうして欲しいか言えるよね?」

黒田「あぅ・・わ、私の・・中に・・出して・・ください。」
男「いやぁ、そこまで言われたら中に出さないと悪いよなぁ。」
男が激しく腰を打ち付ける。射精する準備に入ったのだろう。
黒田「ああ、いや、いや・・いやあああぁぁぁぁあっぁあっぁあぁっぁぁぁぁぁぁぁあっぁあ・・・・。」
ドクンっ、ドクンっ、ドクンっ、ドクンっ、ドクンっ、ドクンっ・・。

黒田「あ・・あ・・。」
男「はぁー。中出しいいねぇ。征服したって感じがするよ。」

kuroda

五頭「満足か?」
男「ああ、じゃあそろそろその先生を殺したらどうだ?」
五頭「言われなくてもすぐに殺るさ。」

黒田「え・・うそ・・殺さないって、そう言ったじゃない?」
男「抵抗したら殺すって言っただけ。抵抗しなかったら殺さないとは言ってない。」
五頭「ま、抵抗しなくても殺すってことだ。」

黒田「うそ、いや、やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ。」

具島「う・・うわぁぁぁぁあぁぁっぁあぁぁぁっぁあああああああっっっ・・。」

五頭「え?」
突然具島さんが悲鳴・・というか、狂ったような声をあげ始めた。
具島さんの方を見ると、頭を押さえて苦しそうだ。

五頭「具島、しっかりしろ。大丈夫か?」
ダメそうな人に、大丈夫かって変だなあと、思ったけど・・今考えることじゃないか。
ま、返事がなければダメなのだろう。

そして今、具島さんはまさにそんなダメな状態だろう。
もう五頭の声は聞こえていないようだ・・。
ただ悲鳴をあげながら頭を押さえている。

みんなが具島さんに目を奪われて、五分くらい?その状態が続いた。
そして五分後、具島さんが別人になった。見た目じゃなく、性格が。
態度も堂々として、さっきまで不安そうな感じがうそのようだ。

具島「おい、五頭。今何時だ。」
五頭「は?」
具島「何時だ、と聞いている。」
五頭「・・二十三時五十八分だ。いつもの調子に戻ったか?しばらく大人しいかったから何企んでいるのかと思ったが。」

具島「ふ、すまないな。しばらく記憶喪失になっていた。」
五頭「は?」
天利「・・具島さん、記憶を取り戻したんですか?」

具島「取り戻す・・とはちょっと違うな。意図的に記憶を失わせたのだよ。二分戻るのが早かったがな。」
五頭「どういうことだ?」
僕もさっぱりわからない。どうしてそんなことしたんだ?

具島「あと二分で生物兵器が散布される。以前まかれたものよりもはるかに強力なものが、な。」
五頭「なっ?」
具島「そのことを先に知られたらまずいからと、実験として自分の記憶を一時的に失わせてみたが、まあまあ成功だな。」
五頭「な、何が成功だっっ。」
具島「ああ、もちろん微調整が必要なのはわかっている。今回の実験は完成への貴重なサンプルとなるだろう。」
五頭「そういうことを言ってんじゃねえ。あの時よりも強力な生物兵器だと?ふざけるなっ。」

天利「あの・・どうしてこんなことをしたんですか?あなたも被害を受けると思うのですが?」
具島「いいんだ。全ての人間がいなくなればそれでいい。私も、その一人だ。」
五頭「狂ってやがる。」
お前も狂ってると思うよ。

具島「天利くん。」
天利「くん?」
さん付けで呼ばなくなったらちょっと違和感。
具島「キミには迷惑かけたな。キミの話が本当なら実験したいのだが、いいか?」
天利「いや・・何を実験するのですか?」
具島「過去に戻る方法さ。まあ、次の私に任せることになるだろうがな。」
天利「え?こんな時に何言ってるんですか。それどころじゃないでしょう?」
五頭「おい、お前ら何を話してんだ?」

具島「電信柱にマイクロSDカードが隠されている。パスワードは”gaje1pga:efoj22a3eng;ern”だ。」
天利「具島さん?」
具島「そして私の無実を証明してくれ。何度やり直してもいいから。」
天利「やり直すって・・。」
それに、無実って?生物兵器が散布されるってあなたが言ってませんでしたか?

具島「既に二回やり直したのだろう?」

天利「・・は、はい。」
五頭「おい、だからお前らは何話してんだ?」
具島「お前も何かお願いしといた方がいいぞ。この青年は人生をやり直すことが出来るからな。」
五頭「は?んなことありえねぇだろ?」
具島「ではなぜこの青年は我々の情報を持っていたのだ?私との接点は見つからなかったのだろう?」

五頭「・・まさか、既にオレ達とやりあっているから・・だと言うのか?」
結構こいつ、理解早いな。
具島「ええ、そうよ。あなたも・・やり直したいと思っていることはないかしら?」
五頭「お前がそんな非科学的なことを信じるのか?こんなヤツを信じるのか?」

どおぉぉぉおぉぉぉぉぉんんん・・・・・。

男「な、なんだ?」
具島「二十四時になった。生物兵器がばらまかれ始めた。」
五頭「くそっ。爆発のあった場所からばらまかれるのか?」
具島「違うんだ。爆発はおとりなんだ。違う場所で散布される。気がついた時は手遅れだ。」
五頭「・・どこだ?どこに生物兵器をしかけやがった?」

具島「教えるわけないでしょう?あなた達は後悔するといいわ。私を捨てたことを。」
天利「僕、置いてきぼり?」
具島「ああ、すまないな・・ええと、最初に生物兵器を使ったのは私じゃない。作ったのは私だがね。」
天利「え?」
具島「キミに出来る限り情報を伝えてからやり直してもらいたくてな。」

天利「・・具島さんは、今とは違う未来にしたいのですか?」
具島「ああ、何もしなければ生物兵器を使った悪者にされ処分される。だから私は対抗手段としてより強力な生物兵器で敵を全てを葬ろうとした。」
具島「だが、関係ない者まで巻き込むようなものしか作れなかった。こんなやり方が正しいとは思わない。思わないのだけど、私には時間が無かった。他に方法は思い付かなかった。」

・・つまり、具島さんは生物兵器を作ったが、最初使われた時は関知していなかった。
だけど、生物兵器を使ったやつらは具島さんに全ての責任を押し付けた。
具島さんはそいつらに対抗するため、さらに強力な生物兵器を作った。
そして今、その強力な生物兵器が世の中にばらまかれた・・。敵味方関係ない人も巻き込んでいく兵器が。
・・うーんと、それを僕になんとかしろと言うのか?この事態を?

具島「キミには私が無実だと言うことを連中に伝えて欲しい。そして、生物兵器を止めてくれ。」
天利「止める方法があるんですか?」
具島「今はもう手遅れだ。昨日中にやっておく必要があった。だから、次のキミにかける。」

五頭「おいおい、マジかよ。お前、頭おかしくなったんじゃねえか。」
具島「私は可能性を否定しない。お前が勝手な先入観で気にいらないことを否定するならそれで構わんがな。」

五頭「・・・・なあ、てめえは本当に過去にやり直せるのか?」
天利「不思議とな。二回ほど過去に戻ったよ。記憶は持ち越しで。」

五頭「過去に戻って、差別や貧困のない世界を作れるか?」
天利「僕一人があがいてもどうにもならないよ。」
五頭「・・なら、一人の女性を助けることはできるか?」
天利「そのために過去に戻ったりしているのかもな。僕の意思で戻ったわけじゃないけど。」

五頭「具島を、頼む。」
天利「言われなくても。あ、情報とかあると嬉しい。」
五頭「・・是色と言う人がいる。具島を無実だと言っていた人だ・・その人なら相談に載ってくれるだろう。」
具島「是色・・あいつか。いまいち気にいらないが、まあ無難な相手だな。」
天利「だいぶ情報が増えてきたなぁ。解決するかどうかはまた別だけど。」
五頭から是色さんの電話番号を教えてもらった。

具島「で、どうすれば過去に戻れるんだ?」
天利「え?」
五頭「そうだな。戻ってくれないと困る。」
天利「えーっと。」
まさか死んだら戻れるなんてねぇ。

具島「確か、死んだら過去に戻っていたって話だったっけ?」
あ、そう言えばそれも言っちゃったっけ。
カチッ。
五頭「痛くないように送ってやる。後は頼むぞ。」
え?ちょっと展開早くないですか。もうちょっとゆっくり行きましょうよ。

バンッ。
再び僕は意識を失った。
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