―――体育祭―――

本日は体育祭。生徒一人一人が主役となってグラウンドを駆け抜けるのだが、
うちでは保護者と教師が参加する競技を多く設けている。
一つレーンを開けて飛び入り参加も出来るようにして、参加の呼びかけもしている。

校長からみんなが一丸となって参加して欲しいとかなんとか言っていたが、
実際のところあまり参加する人はいない。
体力的な面もあるが、恥ずかしいという意見が多かった。
校長は続けることに意味があると、これが当り前になれば恥ずかしがる人も減っていくだろう、と。

どうもうちの校長は一生懸命なのだが、現在の需要に合わないことでも強行する節がある。
僕もあんまり参加したくないので校舎内の見回りという名目で逃げている。
・・教師陣の中で一番若いから積極的に参加するよう言われたが、
校長がそう言った時点で積極的とは違くなるよな。

・・いや、別に面倒くさいとかじゃないですよ?

期待が重いんです。

僕は別に運動は得意ではないのに、得意そうだと思われてしまうんですよ。
若さと背が高いからだと思うけど・・。
競技後のみんなのがっかりした感じ・・あれがつらいんです・・。

ま、見回りも大事な仕事だよね。
教師全員参加競技くらいは出るし、いいよね。

・・それにしても、いい天気だ。
行事があると授業時間が減るから心配な気持ちもあったが、
一人一人が己の全力を出して走る徒競走。
みんなで団結する大玉転がし。
一つ一つの競技毎に送られる声援。
こういうのに熱くなり全力で勝利を取りにいくのもいい経験になるか。

現実と違って負けてもペナルティはなさそうだし。

がたっ。
・・ぼそっ・・ぼそっ。

ん?倉庫にだれかいるのか?
まあ、こういうイベント日には逢引するやつとかいるが、そういうのに出くわすとちょっと気まずいんだよな。
せめて体育祭で使う綱引きの綱が重すぎて運べないとか、白線引くやつが見つからないとかだったらいいんだが。

・・逢引の可能性を考えてまずはこっそり見てみるか。

戸矢羅「きゃっ。」
男「はあ、はあ。か、かわいい顔が、ボクので汚れていく。」
戸矢羅「も、もういいでしょ。もう許してよ。」

toyara

・・何だこれ?
あれは、戸矢羅だよな?黒田や瀬間と同じクラスの。
確か一日以上瀬間と会えない場合態度が変わるやつだったけど・・。
逢引・・?まさか。

男「次はお譲ちゃんとのセックスを楽しませてもらおうか。」
戸矢羅「い、いやっ。それだけはいやっ。」
男「んー?女子更衣室を盗撮していたのをばらされてもいいのか?」
戸矢羅「あ、あんたも盗撮しようとしてたじゃない。私のことをばらすとあんたも捕まるわ。」

男「ボクは未遂だけど、お譲ちゃんは盗撮しちゃっただろ?お譲ちゃんの方が罪は重いよ。」
男は戸矢羅の胸やお尻を撫でまわす。
男「同類同士、仲良くしようよ。ボクの性奴隷にしてあげるからね。」
戸矢羅「へ、変態・・い、いやぁ・・。」

がらっ。
天利「ちょっと待てぇ。」
この男ただの不審者だ。逢引でも何でもねぇっ。

倉庫の扉を開け男を組み伏せた後、携帯で他の先生に連絡する。
すぐに他の先生と警備員がやってきて、男は警備員に連れていかれた。

内田「天利先生お手柄でしたね。」
天利「ははは、そうですね。」
なぜか僕は問題事の発見率が高いんですよ。不思議と。

米他「天利君、ちょっといいかね。」
天利「え、あ、はい。」
内田「じゃあ私はこれで・・。」

米他「どういう状況だったか話を聞きたいのだが?」
天利「と、言われても・・見回りしてたのは御存じですよね?」
米他「ああ。」
天利「見回りで体育倉庫の前を通った時にボソボソ声が聞こえたので様子を見たら不審者と戸矢羅がいました。」

米他「そうか・・また話を聞くかもしれんがその時はよろしくな。」
天利「はい、わかりました。」
米他「じゃあ戸矢羅くんを頼んでもいいか?私は警察へ向かうから。」
天利「戸矢羅を?は、はい。」
そして、戸矢羅と二人っきりになった。

天利「え、と。大変だったな。競技出れそうか?無理なら今日は帰るか?」
戸矢羅「・・先生、いつから見てました?」
天利「いつからって・・。」
そういえば、戸矢羅が女子更衣室を盗撮してたって話をしてたっけ。

天利「まあ、助けに入るちょっと前からかな?」
戸矢羅「・・すぐに助けなかったんですか?」
天利「逢引だったらほっとくつもりだったんだ。判断が難しいんだよ。」
戸矢羅「・・なら、聞いたんですか?」

天利「・・お前が女子更衣室を盗撮してたことか?」
戸矢羅「知ってたならどうしてそのこと言わなかったんですか?校長来ていましたよ。」
天利「そうだな・・どうしてそんなことしたか戸矢羅に聞いてからかな?」

戸矢羅「つまり、先生は私を脅すつもりと言うことですね?」
天利「全然違うっっっ。みんなに知られないように解決しようと思ったの。」
戸矢羅「別に校長が知ってもみんなに知られないと思いますが。」
天利「まあそうだと思うけど、僕が解決したいかなってね。」

戸矢羅「つまり、先生は私が女子更衣室を盗撮した気持ちを根掘り葉掘り聞きたかったんですね?」
天利「ニュアンスがおかしいよ。」
戸矢羅「恥ずかしそうに話す私を見てにやにやしたいと言うことですね?」
天利「まったく違うっっっ。とにかく、盗撮した映像は消して、今後盗撮しなければいいから。」

戸矢羅「なら今回盗撮した分は消します。今後は控えます。」
天利「・・以前もしたの?」
戸矢羅「別にいいじゃないですか。」
天利「ダメだよっ。どうしてそんなことしているの?」

戸矢羅「・・瀬間ちゃんが撮りたかったの。」
天利「は?」
戸矢羅「瀬間ちゃんの、恥ずかしい姿が欲しかったの。」
天利「・・」
戸矢羅「なによ、その目は。」

天利「瀬間は女だぞ。」
戸矢羅「知ってるわ。」
天利「お前も女だろ?」
戸矢羅「見てわかんない?」
天利「・・」

戸矢羅「言いたいことがあるなら言って。」
天利「戸矢羅は女が好きなのか?」
戸矢羅「・・別に、そうじゃない。男の人の方が好き・・でも、瀬間ちゃんは他の人とちょっと違うの。」

天利「まあ先生は生徒の恋愛には口出ししないから。だがな、盗撮はやめておけ。」
戸矢羅「瀬間ちゃん以外の映像を上げるから先生協力してくれない?」
天利「ダメに決まってるだろ。」

戸矢羅「ぶーぶー。」
天利「不満そうにするな。みんなの所へ戻って競技出てこい。走ってその煩悩を吹き飛ばしてこい。」
戸矢羅「ううん、帰る。瀬間ちゃんのお見舞い行ってきます。」

・・どうして僕の周りには変な人ばかりなんだろう?
それにしても、僕が瀬間と付き合っていると知ったら戸矢羅はどうするだろうか?
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