―――救出―――

米他「そうか、ビデオカメラを持ってってもらえばよかったな。」
天利「全然良くないです。人がぼこぼこにされる映像がそんなに欲しかったんですか?」

僕は今日、生徒のお見舞いに行った。そして、たまたま帰宅した父親に殴られた。
殴られまくった。もちろん誤解だったのだが。

米他「ま、黒田くんが元気そうならそれでいいさ。キミがぼこぼこになるなんて小さな話だよ。」
天利「校長は、生徒は気にしますが教師の扱いは雑ですね。」
米他「そんなことないぞ。教師は使い捨ての部品として大切にしている。」
・・
米他「冗談だよ。」
天利「悪質です。」

米他「ま、こっちはそれどころでないからな。」
天利「?」
米他「瀬間くんだが・・まだ見つからないんだ。」
天利「え?朝からいなくてもう夕方ですよ。まさか・・。」
米他「冗談でもそれは言うな。一応警察にも連絡している。先生方にも捜してもらっている。きっと大丈夫だ。」
天利「は、はい。」
この人には冗談を言うなとは言われたくないのだが、言う雰囲気じゃなかったので言わないどいた。

米他「それにしても、いったい何があったというんだ?無事であってくれ・・。」
・・無事であってほしいのは僕も同じだが、瀬間はどこへ行ったんだ?

・・僕の家とか?
いやいや、それは都合のいい話すぎるし、第一僕がいないことはわかるだろう。

米他「最近瀬間くんに変わったことはなかったのか?」
天利「いえ、ずっと夏休みでしたし・・。」
米他「そうか・・。」

瀬間の様子・・か。夏休み中には会わなかったが・・。
あれ?夏休み前・・まさか・・。

天利「あの、校長。僕ちょっと校内を捜してみます。」
米他「そうか、何かわかったらすぐに連絡してくれ。」
天利「わかりました。」

・・心当たりが一つある。
夏休み前、瀬間に告白していた用務員。
あの後、瀬間を無理やり用務員室に連れ込んで瀬間にひどいことをしてた・・。

もしかしたらあいつが関わっているかもしれない。
僕は一直線に用務員室へ向かった。

・・
到着、用務員室前・・特に声はしない。
瀬間・・僕の気のせいであってくれ。きっと今頃学校サボってカラオケにでも行ってるんだよな?

意を決してドアを開け・・ようとしたら鍵がかかっていた。
自分でも驚きなのだが、ドアへ思いっきり体当たりしていた。
バンッ。
いてて、ドアが開いた。というより壊れたのだが。
用務員「な、何だ?」
中には・・。

裸の用務員と瀬間がいた。

用務員は突然の出来事に驚きを隠せないでいる。
瀬間は・・まったく動かない。焦点が合わない目、身体中にかけられた精液、おそらく朝学校へ来てからずっと犯されていたのだろう。

sema

その後のことはよく覚えていない。
用務員を思いっきり殴ったらしい、瀬間がまったく反応を見せなかったから、校長へすぐに連絡したらしい。
そして、瀬間は病院へ連れて行かれた。

米他「天利くん、キミは心当たりがあったのか?」
天利「・・以前、瀬間に花束を渡そうとしていたのを見たことがあります。」
もしかして・・そう思った。でも、まさかこんなことをしてしまうなんて・・。

米他「そうか・・」
天利「どうしてこんなことになったんだろうか・・?」
米他「事実関係はこれから調べられるだろう、我々は同じことが起きないよう対策し、また自らがそうならないよう戒めることくらいしかできないさ。」
天利「校長・・。」
米他「まあ、私は被害を受けた生徒と生徒の親への補償とか色々あるがな。」

天利「・・この学校、つぶれませんか?」
米他「そこは何とかしてみせる。あ、就職活動ならして構わんぞ?」
天利「後半は聞きたくなかったです。」
米他「まあそう言うな・・キミは瀬間くんとは仲はよかったか?」
天利「何ですか突然。」
米他「もし、そうなら時々見舞いに行ってくれ。病院名は教えておくから。」
天利「わかりました・・言われなくても行く予定でしたから。」
米他「そうか、頼むぞ。」

・・
僕は校長と別れた。
校長はこの後やらないといけないことがたくさんあるらしい。
僕が手伝いますか?と聞いたけど、やんわり断られた。

”キミは色々あったから、今日はゆっくり休め。明日は授業をよろしく頼む。”

ようするに、明日からの授業はいつも通りするように―――
今日起きたことが影響しないよう早めに休めということだ。

校長からの気遣いは素直に受け取っておこう。
僕はアパートへ帰り、早めに休んだ。



―――天利の実家・・その近くにある神社では・・

濡髪「えっと、婚約ですか?」
濡髪の父「そうだ、他県の神社の息子さんだ。家柄は十分問題ない。」
濡髪「・・私はいやです。決められた相手なんて・・。」
濡髪の父「これはうちの神社にとって必要なことなんだ。お前もわからないわけじゃないだろう?」

・・古い考えだと思います。
血と家柄が重視されるこの家では、昔から行われていたこと。
力を高めるため、また格の高さを重視するしているためか、子供の気持ちは無視し、
決められた相手との結婚を強要させられる。

いつか来るとは思っていたけど・・早すぎます・・。

濡髪の父「もちろんお前に異存はないな?」
濡髪「・・はい・・。」

昔から当然だと教えられていたこと・・それに、親には逆らえない・・。
でも・・糸利ちゃん・・糸利ちゃんじゃないといやだよ・・。

濡髪の父「じゃあ明日先方にお会いに行くから、用意しておけ。」
濡髪「え、明日ですか?学校は・・?」
濡髪の父「休め。学校よりも家の方が大切だ。」
濡髪「・・わかりました。」

その日、私は布団の中で泣きました。
こんな日は来ないで欲しかった。糸利ちゃん、会いたいよ・・。

天利が忙しい一日を過ごした日、少女はつらい現実を突きつけられていた。
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