・・目覚ましをかけたわけじゃないのにすんなりと目が覚めた。
まだ5時過ぎ。いつもよりだいぶ早い。
昨日は早く寝たからな。まあそれはいい。いいんだけど・・。

俺なんで生きてるの?死ぬんじゃなかったっけ?

サ○エさん時空にでも迷い込んだのか?
例え家が壊れようが大事件が起きようが次の週には日常に戻るというあの永遠に年をとらない謎の時空へ・・。
んなわけないだろうけど。現実はどこまでいっても現実でしかない。

携帯を見ると、死のメールは来ていなかった。
パソコンを見ても、電源すら入ってなかった。
俺は手動でパソコンの電源を入れてみる・・が、電源ボタンを押下しても無反応だった。

欧樹「壊れた?」
パソコンが壊れたから俺は呪いを回避出来たのか?
じゃあ携帯の方はどうして死のメールを送ってこないのだろう?
わからない、わからないけど・・どうやら俺はまだ生かされるらしい。

いや安心するのはまだ早い!
いつもの日常に帰ってきたと安心したところへ・・また非日常が!
そういうホラー映画見たことある。

・・もし一階に降りたら母さんが毒料理作ってたらどうしよう。
父さんが包丁ぶん回してたら俺どうすりゃいい?
・・く、だが行ってみないことにはなにもわからない!

・・・・で、一階へ降りてみたけど、まだ父さんも母さんも起きてなかった。

その後父さん母さんが起きてきて、普通に朝ご飯作ってくれた。
毒も入ってないし、包丁で暴れたりなんかもなかった。
なにかおかしい。ホラーならなにか異変があってもいいはずだ!
・・んなわけねーと自分でつっこみながら、学校へ向かった。

・・
・・・・

通学途中、地面にうずくまっているお婆さんがいた。
来た!絶対この人は人間じゃない!
多分こうなると予想。

―――――
欧樹「お婆さん大丈夫ですか?」
お婆さん「・・苦しい、苦しい。」
欧樹「どうされたのですか?」
お婆さん「・・・・お前が・・お前が私をこんな目に遭わせたんだーーーーーーーー」
―――――

みたいな感じで襲いかかってくるはず!
ふっ、わかっていれば解決策も自ずとわかる。無視すりゃいいんだ。
触らぬ神に祟りなし。昔から言われているよな、うずくまっているお婆さんなんて無視すりゃ・・って出来るかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

欧樹「お婆さん大丈夫ですか?」
お婆さん「・・苦しい、苦しい。」
欧樹「どうされたのですか?」
お婆さん「急に、胸が苦しくなって・・」
ど、どうすればいいんだ?さすればいいの?

?「心筋梗塞の可能性がある。すぐに救急車を呼ぶように。」
すぐ近くから声がしてびっくりした。周りを見ても・・俺とお婆さんしかいない。
???まあ声がどこから来たのかよりも、救急車呼ぶ方を先にするか。
あれ、携帯どこやったっけ?

?「カバンの中にある。」
カバン・・そういや教科書と一緒にぶち込んだっけ。

救急車を手配すると、数分で救急車が到着した。
お婆さんを救急隊員さんに任せて俺は学校へ行くことに。
・・ところで、だれが喋ってたんだろう?
はっ、もしかしてお婆さんが自分で喋ってたとか・・そういう怖さ?微妙だな・・。

・・
・・・・

?「ここもひどく呪われてるな。」
下駄箱についたところでまた声が聞こえた。
しかもなんか物騒なことを。

欧樹「さっきからだれが話してるんだ?」
?「私だよ私。」
私さんですか。ってだれだよ!

?「パソコンの中にいた時はずいぶん無茶苦茶してくれたな。」
パソコンの中?パソコン?・・まさか!

欧樹「ウィルス!?」
ウィルス?「・・まあそう思うならそれでもいい。宿主が壊れてしまったからな、しばらくここにいさせてもらう。」
欧樹「ここにって・・下駄箱に?」
ウィルス?「お前の中に。」
欧樹「・・マジ?」
ウィルス?「まじ。」
つまり俺の中にウィルスが常駐したってことか?いや感染というべきか。

?「殺す」
?「殺す」
?「殺す」
?「殺す」
?「殺す」
欧樹「・・えっと・・。」
ウィルス?「ああちなみに、お前に届けられた”呪い”も全部お前の中へ引っ越ししたから。」
呪い?全部?
呪いって、もしかして携帯に送られた”死のチェーンメール”のこと?・・ということは・・え、1000件以上チェーンメール転送されたんだけど・・。

欧樹「の、呪いはどうなってるんだ?」
ウィルス?「私が防いでいる。お前は私が殺す予定だからな。」
欧樹「そういえば0:00に死ぬとか言ってなかった?」
ウィルス?「お前が、お前が7952もの”呪い”を引き寄せたから・・無効化するのに手一杯だ!!!しばらくはここに住まわせてもらうぞ。」
と言われましても・・。

藍原「おはよう粟島くん。電話してたの?」
欧樹「おはよう藍原さん。いや電話なんかしてないよ。」
藍原「そう?ずっと一人でなにか言ってなかった?」
一人・・まあ一人か。

ウィルス?「ちなみに私の言葉は他の人に聞こえないから。」
つまりこのウィルスと話していると、俺が危ない人だと思われるわけか。

ウィルス?「心の声も聞こえるから話す必要ないけどな。」
俺のプライバシーは?

ウィルス?「(笑)」
あ、あれ?なぜか笑われたってわかった。

藍原「粟島くんどうしたの?」
欧樹「あ、なんでもないよ。えーとちょっとひとり言をね。」
藍原「悩みがあるなら聞くよ。粟島くんには助けてもらっちゃったからね。」
欧樹「ありがとう。今は特に大丈夫だけど、なにかあったらその時はよろしくね。」
藍原「うん。」
藍原さんと教室へ行く。
途中掲示板を見たら、俺が書いたメールアドレスの近くに感謝の言葉がいくつも書いてあった。
・・こんなことになって複雑な気分だ。俺いったいどうなるんだ?

・・
・・・・

教室に着くと携帯がブルった。死のチェーンメールがまた来たのだ。

ウィルス?「WELCOME TO OUR WORLD」
えーと、7953番目の呪いか。正直もう来ないで欲しい。
俺の世界の居住者はウィルスと呪いのチェーンメールだなんて、勘弁・・。

藍原「粟島くん数Bの宿題やってきた?」
欧樹「珍しくちゃんとやって来たよ。」
藍原「あはは、自分で言っちゃうんだ。ね、ちょっと見せてもらえないかな?」
清水先生もあんなことになっちゃうし、俺にはもう藍原さんしかいないな!
結構話すようにもなって好感度は十分なはず!いつクラスメイトから恋人に変わってもおかしくない。

欧樹「いいよ。宿題忘れてきたんだ。」
藍原「昨日はちょっとね・・彼氏とのデートで夜遅くなっちゃったの。」
・・ん?今なんて・・?

藍原「明日有休とったからって遅くまで付きあわされちゃった。全部向こう持ちだからいいんだけどね。」
欧樹「へ、へー。そのひと社会人なんだ。」
藍原「うん。車持ってるから色々連れてってくれるの。」
欧樹「ソウナンダ。昨日はドコイッタノ?」
藍原「まずカラオケでしょ。その後レストランで夕ご飯、レジャーランドでボウリングして季節外れだけど海に行ったの。」
欧樹「へータノシソウデなニよリ。」
藍原「あいつに全部任せると個室とか二人っきりになれるとこばかり行こうとするの。男ってエッチだよね。」
欧樹「ハハハ、こめんとハひかエるヨ男とシて。ところで宿題大丈夫?」
藍原「あ、そだった。じゃあちょっと借りるね。」
・・そっかー、藍原さん彼氏いたのかー。
いや別に確認してたわけじゃないし、別にいいんだけどね。うん別に・・。

ウィルス?「元気出せよ。」
欧樹「ありがとよ。」
ウィルスに気を遣われたよ。だれも信じてくれないかもしれないけど、人類で初めての体験かもな。

渡瀬「おはよう。」
渡瀬さんだ。俺の悲しみを癒してくれるのはもう渡瀬さんしかいないよーーーーーーーー。

バチっ!!

欧樹「え?」
渡瀬「え?」
俺と渡瀬さんの間で静電気のような、パチっという音がした。
この距離で静電気は無いよな?

渡瀬「・・」
渡瀬さんが無言で俺を見る。そりゃ驚くだろうな。

ウィルス?「こんなところでなにをしてる?」
渡瀬「・・別になにも。」
渡瀬さんが自席についてカバンから教科書類をとりだす。
今・・渡瀬さんウィルスと会話した?いやまさかな。

俺の人生、どうなるんだろうか?
そのうちウィルスに殺されるのかな・・はぁ。

・・
・・・・

それからひと月が経った。
ウィルスともだいぶ打ち解け?俺の中での生活を楽しむ呪いも現れ出した。
勉強でわからない所があれば教えてくれるし、お金が落ちてるのも報せてくれる。超役に立つ。
ウィルスと呼ぶのもあれなので、とりあえず心の声と呼ぶことにした。

心の声「おや、橋の下になにかあるぞ。」
ふふふ、またお金かな。それとも商品券とかかな?
橋の下へ行くと、封筒を見つけた。
この間財布を拾って届けたら、次の日落とし主から電話がかかってきてお礼がしたいと言われたよ。
テンパって断っちゃったけど、今思えばおしいことをした。
新しい出会いがあるかもしれないじゃん。
落し物が見つかって落とし主は喜ぶ。俺は(もしかしたら)素敵な出会いがあるかもしれない。
WINWINだね!
いやまあ、ネコババしたい気持ちもあるけど・・なんか悪いことっていざとなるとしづらいよな。

封筒を開けるとそこには・・福沢諭吉様が50枚ほど入っていた。

・・ん?

そして次の話が始まる。

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